【赤坂英一 赤ペン!!】かつて野村監督に「神の子」と呼ばれた絶対的エースも、「普通の子」になってしまったのか。楽天・田中将大投手が6日のソフトバンク戦で8敗目を喫した。自らの四球やバント処理のミスなどでピンチを招くと、連続適時打で失点を重ね、6回9安打4失点である。
試合後、田中将はユーチューブの「マー君チャンネル」を更新。一番の敗因は制球の甘さにあること、バント処理の際に“お見合い”した一塁手・鈴木大地とはベンチ裏でミスの原因を確認し、しっかりと反省したことなどを報告していた。
いつもながら田中将の的確で明晰な語り口は、分析力の鋭さとクレバーさを感じさせる。これは「本格的に野球を始めた小学生時代、捕手をしていた経験が大きい」と、田中将本人がまだ20代の頃にこう語っていた。
「小学生では捕手一本。中学で投手をやるようになってからも捕手と兼任です。その頃から打者の狙いとか相手投手の癖を観察する習慣がついた」
そういう野球観と対応力が今も健在なら、次回登板には期待してもよさそうだ。と思わせる半面、野村監督に「神の子」と呼ばれた時代、星野監督の下で24勝0敗を記録した2013年の輝きに乏しいのも確かである。
まだ33歳と老け込むには早過ぎる。今のマー君に足りないものは何だろうと考えて、かつての眼光に思い当たった。
メジャーリーグへ行く前、以前楽天でエースを張っていた時代の田中将は、勝負どころでギアを上げると目つきまで変わった。帽子のひさしの下でギラリと光る眼光は、気迫以上の“殺気”すら感じさせたものだった。
「マジで人を殺せる目をしとるぞ、おまえ」
マー君本人に直接そう言ったのは、09年WBCで、ともに侍ジャパンのメンバーに選ばれた藤川球児氏(当時阪神)だ。9歳年上の守護神にそう言わしめるほど、田中将の目力は別格だった。
当時は、侍ジャパンに選ばれた打者たちもマー君がマウンドで漂わせるオーラを絶賛。日本ハム・稲葉篤紀が「いい時のマー君には完全に見下ろされている感じ」と言えば、ソフトバンク・内川聖一は「初めて対戦した時には威圧感を感じて2打席連続空振り三振ですよ」と苦笑いしていた。
今季は成績がいまひとつの一方、5月10日のロッテ戦では日本球界復帰後初の完封勝利。7月16日にはオリックス・山本由伸との新旧エース対決も制している。田中将が本来の鋭い眼光を取り戻す日も近い、と信じたい。
☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。日本文藝家協会会員。最近、Yahoo!ニュース公式コメンテーターに就任。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」(講談社)など著作が電子書籍で発売中。「失われた甲子園」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。他に「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。












