交流戦前に価値ある1勝だ。阪神は22日の巨人戦(甲子園)に4―0で快勝し、2カードぶりのカード勝ち越しを決めた。

 立役者は先発の伊藤将司投手(26)だ。2年目左腕は開幕から先発ローテ入りしたが、先発予定日だった4月13日当日にコロナ感染が発覚した。隔離期間からファームでの実戦復帰を経て、この日が約40日ぶりの一軍の先発復帰戦。「1か月、一軍でプレーしていなかったので。その悔しさはありました」と不運な離脱となった鬱憤を見事に晴らした。

 立ち上がりから直球、ツーシーム、スライダーの変化球を丁寧に低めの両サイドに集め、G打線相手を翻ろう。12個のゴロアウト、4回無死一塁では4番・岡本、6回一死一塁では3番・吉川尚と、相手の中軸から要所で併殺を奪うなど、8回まで連打を許さなかった。

 最終回にこの試合初となる連打を許し、一死一、二塁とされたが「意識はりました」と、完封にこだわった。離脱前の4月6日のDeNA戦では、1―0と完封目前だった9回二死で同点打を浴び、チームも延長戦の末に惨敗。「二度同じ失敗はできない。4点もリードがありましたし」と気合を入れなおし、後続のポランコ、中田を中飛に打ち取り、111球を投げ切って今季初勝利を初完封で飾った。

 試合後の矢野監督も「本当にすばらしかった。自分を知っている。最高の形で新たなスタートを切ってくれた」と、久々の一軍舞台で、満点の投球を披露した左腕を大絶賛。この日は試合前から「使う予定がなかった」と守護神・岩崎は休養日に充てることを決定。やや登板過多傾向にあった中継ぎ陣の台所事情に考えても、願ったりかなったりの完封シャットアウト劇となった。