【広瀬真徳  球界こぼれ話】春季キャンプまで残り1週間を切った中、新型コロナウイルスが球界内で猛威を振るっている。

 今月11日にソフトバンク・渡辺陸の感染が明らかになると、17日には佐賀県内で合同自主トレを行っていたソフトバンク・柳田や日本ハム・清宮、ロッテ・安田ら6選手とスタッフ2人の計8人が集団感染。翌18日にも西武・内海らがPCR検査で陽性が確認されるなど感染拡大に歯止めがかからない。

 現在蔓延する新型コロナウイルスは旧来型のデルタ株とは異なり感染力が非常に強いオミクロン株が主流と言われる。すでに渡辺陸が練習に復帰したように軽症で済むことが多い半面、徹底的に予防策を講じても感染するケースがあるのが特徴だ。日々感染者数が激増する現状を見ると、もはや日本全国いつどこで誰が感染してもおかしくない。だからなのか、最近現場で取材をしているとチームに携わる関係者たちの悲痛な声が頻繁に聞こえてくる。

 ある球団職員の一人は選手の新型コロナウイルス感染の報を受けるたびに「自らの身に緊張が走る」と不安をこう漏らしていた。

「球団スタッフが感染しても名前が公表されることはありませんが、選手が感染した時と同様にチーム全体に迷惑を及ぼしてしまう。特に春季キャンプが始まる2月からは球団スタッフも選手に関わる場面が増えるため、意図せず現場の選手に感染させてしまうケースが増える。その当事者になる可能性が高まることを考えるとやはり恐怖しかない。芸能界や何らかの興行に携わる関係者の方々も同じ気持ちでしょうが、仮に球団の動きが止まってしまった場合のチームへの影響、損害額は計り知れないですからね」

 選手、関係者だけでなく野球ファンにとっても2月は“球春”到来の時期。各球団の春季キャンプの動きを見るのはシーズンの行方を占う意味でも楽しみでしかない。特に今季は日本ハムの監督にビッグボスこと新庄剛志氏が就任。球界への注目度は例年以上に高まりそう。そんな状況となれば、なおさらコロナによる混乱は避けたいところ。必然的に球界に携わる関係者にはその重圧がのしかかる。

 昨年のキャンプは球界全体で定期的なPCR検査等を行うことにより何とか乗り切った感があるが有観客で開催予定の今年はどうなるのか。期待と不安が交錯する中、無事完結を祈るしかない。

 ☆ひろせ・まさのり 1973年愛知県名古屋市生まれ。大学在学中からスポーツ紙通信員として英国でサッカー・プレミアリーグ、格闘技を取材。卒業後、夕刊紙、一般紙記者として2001年から07年まで米国に在住。メジャーリーグを中心にゴルフ、格闘技、オリンピックを取材。08年に帰国後は主にプロ野球取材に従事。17年からフリーライターとして活動。