エンゼルスの大谷翔平投手(27)が21日(日本時間22日)の本拠地アナハイムでのロイヤルズ戦に「3番・DH」で出場し、2本の3ランを放ち、日本選手最多の1試合8打点をマークしたが、残念ながらチームは敗れた。そんな中、9回に放った15号同点3ランが“ブラックホール”弾として話題だ。右翼席の通路に吸い込まれるように消えたため、着弾地点が不明なのだ。MLBのデータ解析システム、スタットキャストは438フィート(約134メートル)と計測したが、「どこまで飛んだ」との声が上がっている。

 とにかくすごい、すご過ぎる一発だった。3点を追う9回一死一、二塁で守護神の右腕バーローがカウント2―2から投じたカーブを完璧に捉えた。打球を見上げると確信歩きならぬ、確信立ち。一走トラウト、二走ウェードは万歳だ。ゆっくり歩きだすと自軍ベンチを振り返り、指をさして叫んだ。打球速度113・5マイル(約183キロ)のロケット弾は右翼フェンス後方の通路に吸い込まれるように消えた。大谷も落下地点は確認できなかっただろう。スタットキャストは飛距離438フィートと計測した。

 ネビン監督代行が「2本目がどこに落ちたか、いまだに分からない。リプレーでも見えない」と振り返るほど飛んだ。角度32度、打球速度113・5マイル(約183キロ)のロケット弾は通路の壁などに当たらなければ、どこまで飛んだか。SNSでは「どこまで飛んだ」「すごい」などの書き込みが相次いだ。

 スタットキャストはMLBが2015年に導入したデータ分析ツールで、ステレオカメラやレーダーなどで選手やボールの動きを高精度に分析する。打球速度、飛距離、ボールの球速、回転数などが分かる。信頼性は極めて高いが、大谷に限れば万全ではないようだ。

 昨年6月25日の敵地トロピカーナ・フィールドでのレイズ戦の初回に放った先頭打者弾は右翼席後方の看板を越え、地上59フィート(約18メートル)の高さにある通称「キャットウォーク」を直撃。スタットキャストは飛距離453フィート(約138メートル)と計測したが、当時のマドン監督は「飛距離は間違い。もっと飛んでいる。試合でも打撃練習でも見たことない」と疑義。06~14年にレイズで指揮を執っており、説得力十分だった。

 さらに2週間後の7月9日は敵地Tモバイル・パークで3回一死、左腕ゴンザレスから右翼席4階の「アッパーデッキ」へ超特大弾。スタットキャストは飛距離463フィート(約141メートル)と計測したが、この試合で先発した右腕カッブ(現ジャイアンツ)は「スタットキャストは間違い。500フィート(約152メートル)は飛んでいた」と断言、マドン監督も「数字は正しいと主張するだろうが、あり得ない」と否定した。ちなみに同球場が開場した1999年以降、アッパーデッキ弾は史上6人目だった。大谷が放ったメジャー自己最長弾は昨年6月8日の本拠地でのロイヤルズ戦の初回に左腕バビクから右中間席上段に運んだ470フィート(約143メートル)だ。今季のメジャー最長弾はマーリンズのサンチェスの496フィート(約151メートル)。単純に比較できないが昨年のオールスター戦前日のホームランダービーに日本選手として初出場し、史上最多の500フィート超え6本を記録。最長は513フィート(約156メートル)だった。どこまで飛ばすか楽しみだ。