ロッテの大嶺翔太内野手(26)が23日、任意引退選手としてコミッショナー公示された。球団に大嶺翔本人から金銭トラブルによる引退の申し入れがあり、これが受理された。「借金引退」が公表される異例の事態とあって球界内外には大きな衝撃が広がっている。実際のところはどうだったのか。関係者の話を総合して浮かび上がった“事件の闇”とは――。

 異例の理由で現役生活にピリオドを打った大嶺翔は球団を通じて「いろいろな方にお金を借りて返せないという金銭トラブルが発生し、多くの方にご迷惑をかけてしまったことを深くお詫び申し上げます」とコメントした。球団の説明によると、約2年半前から金融機関などとトラブルがあり、その時は収まったものの、最近になって再びトラブルが発生。借り入れ先は反社会的勢力などではないという。

 実際はどうだったのか? 本紙の取材によると、きっかけは約2年半前に球団にかかってきた一本の電話。「大嶺翔にカネを貸しているが返してくれない。球団が肩代わりしろ」。相手先はいわゆる“闇金”。慌てた球団が本人に問いただしたところ、大嶺翔は借金を認め「もうしません」と約束した。

 だが、2か月ほど前に再び闇金から同様の電話が球団にかかってきた。事態を重く見た球団は、大嶺翔の身辺調査を開始。すると、とんでもない“実態”が明らかとなったという。

「大嶺翔は自分より年下の選手たちに『カネを貸してくれ』と手当たりしだいに声をかけていたんです。その一方で年上の選手にはそういうお願いを一切しなかった。若手選手たちは、先輩の依頼をそう何度も断るわけにはいかず、すっかり困り果てていたそうです」(球界関係者)

 こんな状況下では、ロッテの若手たちも野球どころではない。また、大嶺翔の人間関係や借金の本当の理由など、グレーな部分もあったため、今後大きなトラブルに発展しないとも限らない。一刻も早い対応が求められる中、幸い大嶺翔の借金額は数百万程度だったため、球団が借金を清算する代わりに「引退」するという条件で話がまとまったとみられる。

 それにしても、なぜロッテは今回「金銭トラブル」という理由を公表したのか。別の球界関係者は「ロッテには過去に女性との金銭トラブルで引退となった選手がいます。その選手に払う予定だった年俸を球団が女性に支払うことで話がまとまりましたが、公表はされませんでした。ですが、今回は理由を明らかにしないと、野球賭博や暴力事件など、もっとイメージの悪い問題が発生したのでは…と、勘繰られかねない。公表したのはロッテが企業イメージを大事にしようとしたからでしょう」と指摘した。

 大嶺翔は入団時の喫煙騒動などやんちゃなイメージが先行し、確かに悪い評判もあったが「祖父母を大切に思う優しい一面もあった」との声も。「新しい環境で一から出直し、少しでも頑張っている姿をお見せしたいと思います」とのコメント通り、今後はトラブルとは無縁の人生を送ってもらいたいものだが…。

★おおみね・しょうた=1991年9月17日生まれ。沖縄県石垣市出身。八重山商工から2009年ドラフト3位で兄祐太の在籍するロッテ入団。5年目の14年8月に一軍初出場。同8月7日の楽天戦でプロ初安打を初本塁打で飾る。通算成績は196試合出場で打率2割1分、7本塁打、35打点。180センチ、82キロ。右投げ右打ち。今季年俸は1000万円(推定)。