4日間にわたって繰り広げられた第59回全国高校軟式野球選手権大会(兵庫・明石トーカロ球場)準決勝は31日、延長50回、計10時間18分の熱戦の末、中京(東海・岐阜)が崇徳(西中国・広島)を3―0で制した。
中京・松井大河(3年)、崇徳・石岡樹輝弥(3年)の両右腕の先発で始まった28日の準決勝は延長15回まで試合をしても決着がつかず、翌29日、さらに30日も両投手続投でそれぞれ15回をゼロ行進。そして31日、46回から再開された一戦は延長50回表に中京が無死満塁から2番・後藤(3年)の二塁打などで3点を奪い、激闘に幕を下ろした。ともに1人で投げ抜いた中京の松井は4日間で709球、崇徳の石岡は689球。グラウンド上の死闘と同様に、その舞台裏も壮絶だった。
松井は劇的幕切れから約2時間半後に行われた決勝戦にも4回途中からリリーフ登板。8回からは圧巻の6者連続三振でV、今大会通算では1047球を投げた松井は「お尻と左腰と右腕に張りがあります」と言いつつ「肉体以上に精神が大変でした」という。「一番きつかったのは、おととい(29日)です。なかなか試合が決まらないし、体はきついし…。正直言うともうマウンドに行きたくない、と思いました。今まで野球をやってきて、きついと思ったのは冬場の体力づくりでしたが、それも比べものにはならなかったです」。松井にとってそのような感情を抱くのは初めてのこと。試合後は銭湯や、はり治療のほか、トレーナーから借りた原秀則の野球マンガ「青空」でリフレッシュを図り、限界間近の体でマウンドを守り続けた。
一方の崇徳・石岡も「肩がパンパンで腕を上げると痛い」。ついに点を許した延長50回の、無死一塁でバントされた球を二塁に悪送球し、ピンチを広げた場面を「体が言うことを全然聞かなくて…」と振り返った。両投手だけではない。崇徳のある選手は「1回、1回が絶望の連続。まだ終わらない、まだ終わらない、いつ終わるんだと…。正直、勝敗はどうでもいいから早く終えて帰りたいと思う瞬間もありました」と明かした。
50イニングすべてを9人で戦った中京に対し、崇徳は12人が出場。初日(28日)で交代した崇徳の2選手は、以降の3日間は完全に応援に徹するのみ。その1人で主将の松田(3年)は「いい経験はできましたが、精神的にギリギリでした。やはり難しかったですね」。記録にも記憶にも残る中京―崇徳の準決勝。両チームの選手全員がレジェンドになった。
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