取りあえずは五輪バブルにあやかれそうだが…。東京五輪が閉幕し、選手や関係者が宿泊した東京・中央区晴海の選手村の行方が注目されている。パラリンピックでも選手村として利用された後、一般向けの大型マンション「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」の名称で転用される。11月に販売が再開されるが、五輪期間中に選手らがSNSで大宣伝した効果もあって、人気殺到となりそうなのだ。

 晴海フラッグは三井不動産、住友不動産、三菱地所など大手デベロッパー11社が手掛ける大型プロジェクト。分譲戸数4145戸、総戸数5632戸で、既に一部は販売されたが、五輪が1年延期になったことで、入居予定も2024年に延びて話題になった。大会中にアクシデントや、選手や関係者の中にコロナの感染者が広がり、死者が出るようなことがあれば、事故物件となる可能性もあった。

 結局、韓国選手団がベランダに反日の横断幕を掲げ、撤去を迫られる騒動があったものの、大会期間中に村内での感染者は30数人にとどまり、ギリシャのアーティスティックスイミングの選手4人と関係者1人の感染はクラスター認定もされたが、拡大することはなかった。

「榊マンション市場研究所」主宰の榊淳司氏は「重症者や亡くなる人が出ていれば、イメージが悪かったが、無事に終わり、デペロッパー11社は胸をなでおろしたんじゃないか」と指摘。韓国選手団が入居したのも、分譲ではなく、賃貸エリアで影響はないとみられる。

 晴海フラッグは11月から販売再開されるが、五輪を経ての評価はどうなるのか? 榊氏は「選手たちがSNSで夕日や景色がキレイ、素晴らしいとほめたたえ、かなり印象がいい。あそこに住みたいという人や、ミーハー的な人たちが殺到するんじゃないか」と予測する。

 晴海ふ頭に位置する選手村は、都心や豊洲市場、東京湾、お台場を四方に望む。各国選手団は大会期間中、選手村の様子を動画や写真でこぞって投稿。オーストリアの体操女子代表のエリザ・ヘメルレがベランダで、ビル群をバックに開脚ポーズを披露したのは反響を呼んだ。

 各国から絶賛されたことで、評価が一変したというのだ。晴海フラッグは最寄り駅の都営地下鉄大江戸線の勝どき駅まで徒歩16分と“陸の孤島”で、3年前に販売された際には、平均坪単価300万円台は割高との評価だった。

 榊氏は「五輪効果に加え、強気といわれた価格もこの3年で都心のマンション販売価格は上がっている。勝どき駅前のタワマンで坪450万円くらいで、比べると安い。販売再開の一発目はすごい勢いで売れる。年内は600戸ぐらい売れるんじゃないか」と話す。

 ただし、“五輪効果”も年内だけにとどまるという。「事前に売れているのが約750戸、年内に600戸売れたとしても、あと2800戸も売らないといけない。今後は経済や景気などの市況次第だが、選手村のイメージがはがれていき、純粋なマンションとしての価値が見られる。東京都中央区で駅から徒歩16分もかかるマンションは晴海フラッグぐらいしかない」(榊氏)

 再び、駅遠物件のマイナス面が重くのしかかってくるのは避けられないという。さらにデペロッパー11社の共同プロジェクトもネックとなってくる。

「デペロッパー1社だけなら、売れないとなったら値引きもできるが、11社連合だとなかなか値引きもまとまらない。売り切るために最終的にはデペロッパー各社で、子会社を作って、所有権を移して、賃貸転用とかになるんじゃないか」(榊氏)。五輪でプチバブルを迎えそうだが、先行きは明るいとはいえないようだ。