米シークレットサービスは25日、イラン国営テレビが放送したトランプ大統領の三男で末息子のバロン・トランプ氏(20)の暗殺を示唆する動画を把握していると明らかにした。米メディア・FOXニュースが同日、報じた。これまでにもトランプ氏やメラニア夫人への脅迫動画が流されることはあったが、今回のバロン氏の場合、一歩踏み込んでいるという。果たしてその狙いとは――。

 イラン国営テレビが23日に放送した動画は約3分間。タイトルは「バロンをどこで殺すか?」だった。

 バロン氏が通うニューヨーク大学やトランプ・タワーなどの行動範囲、同行車両、シークレットサービスの警護状況を把握していると主張し、友人の名前も挙げた。さらに、利用しているとされるオンラインゲームなどにも言及した上で、バロン氏を「完全に監視している」と強調。最後には、居場所の情報提供に1000万ドル(約15億9110万円)の報奨金を提示した。実際に監視されているかは定かではない。

 この動画について、シークレットサービスのネイト・ヘリング報道官は25日、FOXニュースに対し「シークレットサービスはこの動画を把握しており、われわれの警護対象者に対する脅威と受け取られ得るものは、すべて調査しています。安全を考慮し、警護に関する情報についてはコメントしません」と述べた。

 イラン国営メディアはこれまでにも、トランプ氏自身を標的とするコンテンツを発信したことがある。また、7月にも「メラニアをどこで殺すか?」とのタイトルで、メラニア夫人が車列で移動する様子や、ニューヨーク市内の複数の場所で撮影された動画を紹介。買い物で利用するとされるデザイナーズショップの名前まで挙げ、購入する可能性のある服に神経剤を仕込むことを示唆した。

 こうした脅迫動画は、米国とイランの戦争が始まった際にイランの前最高指導者アリー・ハメネイ師が暗殺されたことや、2020年に米軍の空爆でイラン革命防衛隊のガセム・ソレイマニ司令官が殺害されたことが背景にあるとみられる。

 米国事情通は「トランプ氏の場合は移動や車列、メラニア夫人の場合は行動習慣や訪問場所に焦点を当てているが、これらはネットニュースなどからでも収集できる情報です。しかし、今回のバロン氏の場合、大学や交友関係、オンラインゲームのアカウントなどにも言及しており、個人情報に一歩踏み込んでいる」と語る。

 もちろん、その主目的は、トランプ氏に恐怖と心理的圧力を与える威嚇である可能性が高い。しかし、イランによるトランプ氏ら米政府要人の暗殺計画が実際に米当局に摘発された事例もある以上、殺害意思や作戦準備がないとは断定できない。

 いずれにしても、実行するかどうかとは別として「息子をいつでも狙える」と印象付けることでトランプ氏本人を揺さぶっていることは間違いなさそうだ。