鳥取県の大山隠岐国立公園内の県道で14日から20日まで、複数回にわたり、約80個、計39キログラムの食パンと、1・3キログラムの鶏レバーや砂ギモが投棄された。食パンは袋に入っていない、スライス前の大きなものだったという。公園を管理する財団法人の職員が発見した。無造作に捨てられているのではなく、間隔をあけて配置されたようにも見え、何のためなのか謎となっている。
石原宏高環境相は25日の記者会見で「クマなどの野生動物が誘引されれば、公園利用者の安全に影響する極めて危険な行為だ」と注意を呼びかけた。
食パンの投棄はほかでも確認されている。大山から約80キロ離れた白兎海岸でも12日や15日など複数回、食パンが見つかった。また、地元メディアによると、7月末ごろから8月12日まで、鳥取市内の道の駅駐車場でも食パンと生の鶏肉が確認されている。
一連の投棄について、関係機関が対応に乗り出している。廃棄物処理法では、廃棄物の不法投棄に罰則を設けている。また自然公園法では、国立公園の特別地域などで、公園利用に支障を及ぼすおそれのある野生動物への餌付けを禁止している。
単に余ったパンを不法投棄するだけなら、人目につかない場所にまとめて捨てた方が手っ取り早い。しかし、車を止め、パンを取り出し、道路沿いを移動しながら間隔をあけて置いたのだとすれば、時間も手間もかかり、目撃される危険まで増える。しかも、レバーなどの内臓肉も置かれている。単なるゴミ捨てだけでは説明しにくい行動だ。
そのため、野生動物を誘引するための「餌」だった可能性も考えられる。野生動物に詳しい関係者は「大山だけならば、ツキノワグマやイノシシなどを誘引するための餌だった可能性も考えられます。米国では『ベイティング』と呼ばれる、餌を置いてクマなどの野生動物を誘引する狩猟方法があります。パンや菓子類などが誘引餌として使われることもあり、クマ猟でのベイティングを禁止している州もあります」と指摘する。
しかし、海岸や車の出入りが多い道の駅にまで同じようなパンが置かれていたとなれば、特定の動物を狙った狩猟目的だけでは説明しにくくなる。
「3地点が同一人物によるものだったと仮定した場合、クマなどを捕獲する目的よりも、本人は不法投棄をしているという意識が薄く、さまざまな野生動物に餌を与えているつもりなのかもしれません。7月末ごろから確認されていることを考えると、さらに以前から行われていた可能性も否定できません」(同)
いずれにしても、「一般財団法人自然公園財団鳥取支部大山事業地」のインスタグラムで公開されている投棄されたパンの画像や動画を見ると、一般家庭で食べられる食パンよりかなり大きく、しかも大量だ。複数地点のパンが同じ種類のものなのか。製造元や入手経路をたどることが、一連の投棄を行った人物を特定する手掛かりになるかもしれない。












