7月の大相撲名古屋場所で優勝争いを演出した幕内獅司(29=雷)の生い立ちに、母国ウクライナで関心が寄せられている。

 先の名古屋場所では、同国出身の関脇安青錦(安治川)が3度目の優勝。獅司は初日から6連勝で一時は賜杯争いの単独トップに立ち、最終的には10勝5敗で場所を終えた。

 同国メディア「Sport.ua」は「大相撲初のウクライナ人力士――情に厚い巨漢、マフノ軍の戦士を祖先に持つ男」として獅司を特集した。

「ソコロフスキー・セルギイ(獅司)はザポリージャ州メリトポリ出身。母親によれば、闘争心や強靭な精神力は父方の家系から受け継いだものだという。先祖の一人は、ウクライナの革命家ネストル・マフノ率いる部隊で戦った力自慢の兵士だった。しかし、それ以外はすべて本人の努力によって築き上げたものだった」と家系を紹介。

「メリトポリは甘いサクランボの産地として知られる町だが、セルギイはそこでフリースタイルレスリングを始めた。体格に恵まれていたことから、地元サッカークラブの指導者にも目を留められ、ゴールキーパーとして誘われたこともあった。しかし、本人は格闘技への思いが強く、最終的にはレスリング一本に絞ることになる」とスポーツ歴を伝えた。

 さらに「セルギイの体は驚異的なスピードで成長し、15歳になる頃にはレスリングの最重量級(125キロ)の体重制限を超えてしまった。そこで新たな競技として選んだのが相撲だった。相撲ではすぐに才能を発揮し、2012年にはヨーロッパ王者に輝く。さらに16年には世界選手権と欧州選手権で個人・団体ともに表彰台に立ち、18年の全米オープンでは重量級と無差別級で銀メダルと銅メダルを獲得し、その名をさらに広く知られるようになった」と力士としての才能開花を報じた。

 その後、来日して当時の入間川部屋に入門し、20年春場所で初土俵。24年九州場所で、ウクライナ出身力士として初の幕内昇進を果たした。

 同メディアは先場所の活躍を踏まえ「獅司の将来は明るい。今年に入ってからは日本語も流ちょうになり、通訳を介さずにインタビューへ応じられるようになった。いまや日本での生活にも完全に溶け込み、〝日出ずる国〟で心から居心地の良さを感じられるようになっている」と締めくくった。

 日本で活躍する獅司のバックボーンに、故郷でも関心が集まっている。