借金を抱えるアストロズを首位争いへと押し上げたのは、歴史的な打棒を振るう一人の怪物だった。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は23日(日本時間24日)、アストロズのヨルダン・アルバレス外野手(29)が驚異的なペースで打ち続けている事実を特集した。
開幕当初に低迷したチームを浮上させる最大の原動力となり、今やア・リーグ三冠王とMVPの最有力候補に躍り出ているアルバレス。象徴的だったのが22日(同23日)、本拠地ダイキンパークで行われたマーリンズ戦だ。2―2の8回、アルバレスは相手先発アルカンタラの速球を左中間席へ運ぶ決勝2ラン。今季34号で5―2の勝利と同カード3連勝を呼び込み、アストロズは50勝54敗と借金4ながら、ア・リーグ西地区首位のレンジャーズに2ゲーム差まで迫った。
打撃成績は、もはや異次元だ。打率3割2分8厘、34本塁打、77打点でア・リーグの三冠部門すべてを独占。本塁打と打点は両リーグトップで、メジャー全体の打率1位にもわずか4厘差に迫る。リーグ三冠王ならミゲル・カブレラが達成した2012年以来14年ぶり。両リーグを通じて3部門すべての頂点に立つ「メジャー三冠王」となれば、1956年のミッキー・マントル以来70年ぶりの快挙となる。
前出のON SIが強調したのは、伝統的な数字だけではない。16敬遠、攻撃面のWARを示すoWAR5・3、OPS+201もメジャートップ。平均的な打者の2倍を超える攻撃力を示している。複数本塁打試合も通算777試合で27度に達し、球団記録を持つジェフ・バグウェルの31度にあと4。バグウェルが2150試合を要した領域へ、猛烈な速度で踏み込んでいる。
何より価値が際立つのは、勝率5割を下回るアストロズを首位争いから脱落させていない点だ。チーム状態が悪ければ個人の数字は埋もれやすい。それでもアルバレスは、たった一振りで試合と空気を変え、10月への望みをつないできた。今季のアストロズを語る上で、間違いなく最大の原動力である。
一方、ナ・リーグMVP候補のドジャース・大谷翔平投手(32)は左膝痛のため、19日(同20日)に予定されていた次回登板の見送りが決まり、投手としての復帰時期は未定となった。打者出場への影響はないとされるが、最大の強みである二刀流による価値の上積みは現時点で止まっている。
もちろん、アルバレスと大谷は所属リーグが異なり、MVP投票で直接争うわけではない。それでも「今季のメジャーで最も価値ある選手は誰か」という広い視点に立てば、三冠王級の打棒で借金球団を地区V争いへ引き戻しているアルバレスを〝大谷以上〟と評価する見方にも現実味が出てくる。歴史的個人成績とチームの奇跡的な逆襲を同時に完成させれば、その称号は決して大げさではない。












