北中米W杯で1次リーグ敗退が確定した韓国代表の洪明甫(ホン・ミョンボ)監督が28日(日本時間29日)に辞任を表明した。誹謗中傷などが激化する中で、「ホン・ミョンボ立入禁止」と記された張り紙が店舗や一般家庭にまで登場して韓国全土に広がる異常事態に発展している。

 今大会から出場国が48に拡大され、決勝トーナメント進出も以前までの出場国数である32に増加。しかも韓国が入ったA組は同国で〝蜂蜜組〟と称されるほど比較的くみしやすい相手がそろい、1次リーグ突破は確実とみられていた。しかしフタを開けてみれば、初戦のチェコ戦こそ勝利したが、第2戦のメキシコ戦で敗戦。そして第3戦の南アフリカ戦は格下相手に不覚を喫し3位に転落。他組の結果を受けて、28日に敗退が確定した。

 韓国では代表チームに対する怒りが爆発。特に洪監督への国民の怒りはすさまじく、誹謗中傷のほか襲撃予告まで飛び出して警察が捜査に乗り出す事態に。李在明大統領が自身のSNSで「無能な人を指揮官に選べば、結果は火を見るより明らかだ」と洪監督を名指しで批判する異例の声明を出したことで、国民の怒りの火に油を注ぐことになった。

 洪監督は現地で緊急会見を開き辞任を表明。同国メディア「エックススポーツ」などが一斉にその様子を報じた。失意の指揮官は「国民の皆さまが期待していた結果をお見せすることができなかった。その責任はすべて監督である私にある」とした上で「本日、代表チームの監督という職を辞任する」と辞任を表明した。

 しかし、もはや洪監督への怒りは辞任で沈静化する域をはるかに超えていた。同国メディア「アジア経済」は「全国に広がる『ホン・ミョンボ出入り禁止』。脱落に怒ったファンたちが各所で案内文をつけてミームへと拡散している。ネット上では爆発的な反響が広がり『ホン・ミョンボ立入禁止』の掲示が全国に拡散した」とその異様な状況を伝えている。

 洪監督の〝出禁運動〟はSNS上にととまらず、韓国社会で一気に拡大。「大田(テジョン)のドーナツ店、弘大(ホンデ)のパスタ専門店、全北(チョンブク)、金堤(キムジェ)の韓牛専門店はもちろん、漢方医院の入り口にも同様の文言が貼られた写真が目撃談と共にSNSに投稿された」と全国各地の各種店舗で洪監督の出禁を表示する張り紙が出現。さらに店舗だけでなく「一部の一般家庭の門にも『ホン・ミョンボ立入禁止』の案内文が貼られた写真も登場した」と一般家庭の門扉にも出禁を示す掲示が登場したのだ。

 同メディアはSNS上の声として「全国民によるミョンボ禁止運動」といった声を取り上げ、さらに国際的なサッカー専門メディア「トリビューナ」もこうした事態を取り上げて世界に向けて発信されている様子を伝えた。

 洪監督は30日午前に帰国する予定だが、まずは安全確保が急務かもしれない。