自民党の稲田朋美元防衛相が存在感を発揮している。

 自民党は裁判の再審制度を見直す刑事訴訟法改正案を党内で議論中。政府案と自民党議員の間で対立しているのが、再審開始決定に対する検察の不服申し立て(抗告)の扱いだ。

 政府案は抗告を認めているが、自民党議員らはなくすべきと反発。静岡一家4人殺害事件で死刑判決となったものの再審で無罪が確定した袴田巌さんのケースでは、2014年の再審開始決定から無罪判決が出るまで約10年かかっている。検察官の即時抗告が長期化の一因だ。

 注目されたのは6日に自民党内で開かれた会議だった。政府の出してきた抗告を認める改正案に、稲田氏が「1ミリも私たちの言うこと聞かないじゃないですか。(議員は)ほとんど抗告禁止じゃないですか」と批判したのだ。その後ももめにもめて政府が修正案を提示することになっている。

 物騒な空気が漂う。鈴木貴子広報本部長はX(旧ツイッター)に「私が法務委員会で袴田巌さんの事件を取り上げ、質問のたびに刑事局長へ検察の反省を質していたときのことです。あるベテラン議員から、ふとこう声をかけられました。『鈴木さんは恐くないのかい』」と投稿。これに稲田氏が反応し、「同じことを私も先輩議員から言われました。『(再審法改正)頑張って。でも江戸の仇を長崎で取られないようにね。』これが政治家の検察に対する偽らざる本音。それでもなお私たちは発言する」と、検察から目をつけられるリスクを覚悟の上だとした。

 稲田氏といえば「保守中の保守というイメージ」(野党関係者)だったが、LGBT理解増進法推進をめぐり保守派から批判される対象となっていた。

「稲田氏の剣幕には驚きました。最近は目立っていなかった稲田氏ですが、再審制度の件で注目度が上がっています。改正案の行方次第では再び日の当たる立場になることもあるでしょう」(永田町関係者)

 検察を相手にどこまで踏ん張れるのか。