銃を所持する許可を取り消された猟友会のハンター・池上治男さんが処分の撤回を求めた訴訟の上告審で最高裁は27日、池上さんの請求を棄却した二審の札幌高裁判決を破棄し、逆転勝訴した。

 北海道猟友会砂川支部長の池上さんは2018年に砂川市から要請され、市職員と警察官の立ち会いのもとでヒグマを駆除。しかし北海道公安委員会は、銃弾が周辺の民家に当たる恐れのある発砲だったと判断し、銃を所持する許可を取り消した。

 池上さんは20年にこの処分の取り消しを求めて提訴。一審の札幌地裁は道側の処分は違法だったとして取り消したが、二審の高裁は銃弾が建物に届く恐れがあったとして処分は適法と判断。池上さんは高裁判決を不服として最高裁に上告していた。

 最高裁は判決理由で公安委員会の判断について「裁量権の範囲を逸脱しこれを濫用したものとして違法」と指摘。また「銃猟による駆除の担い手が将来的には存在しなくなることを懸念する」とも述べられた。

 判決後、司法記者クラブで会見を開いた池上さんは「裁判長がハンター目線で判決を書くんだなと。陳述書で私が言ったことをその通りに書いてくれた」と喜んだ。

 クマとの共存について問われると池上さんは「無理」と断言。続けて「日本のヒグマ行政は世界中が笑ってますよ。人間が被害に遭う意味は生きたまま食われる。腹から食われる。クマとの共存と言ってしまったら、被害に遭ったご家族がどういう思いをするか考えないといけない。共存するなんて安易なことを言ってたら人間どこにも住めなくなる」と質問した記者をたしなめる場面もあった。

 クマによる人身被害は急増。環境省のまとめでは25年度の被害者数は今年2月まで22都道府県で計237人(速報値)で直近10年で最多。今年も最悪を更新してしまう可能性がある。

 池上さんは「いなくなっても(駆除しても)、あとからまた入ってくる。それだけヒグマは多いの。学者の人たちは現場を全然知らない。最悪を更新するかは分からない。ヒグマに聞いて」と指摘。その上で「ハンターと識者の考えにズレがある。ハンターに委託したらハンターに任せ切れないのがダメ」と訴えた。