ドジャースの強さは、ただ金でスターを集めた結果ではない。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」が伝えたのは、クレイトン・カーショー氏(38)の引退後も揺るがないクラブハウス文化の強さだった。大谷翔平投手(31)、山本由伸投手(27)、佐々木朗希投手(24)という日本人3人を抱えながらも空気が重くならず、むしろ明るさを失わない理由は、結局のところ「スターが主役を奪い合わない設計」にある。
他球団なら、高額年俸のスターが並べば並ぶほどエゴがぶつかりやすい。だがドジャースでは、その逆が起きている。球団編成トップのアンドリュー・フリードマン編成本部長(49)は「ナルシシストなスーパースターはいない」と断言。ムーキー・ベッツ内野手(33)も「ここでは誰も広告を流されていない」と言い切った。要するに「誰のチームか」という不毛な序列争いがない。だから新戦力も既存戦力も、余計な神経を使わず同じ方向を向ける。
その土台を築いたのがカーショー氏なら、今はフレディ・フリーマン内野手(36)、ベッツ、マックス・マンシー内野手(35)、ウィル・スミス捕手(30)、ミゲル・ロハス内野手(37)らが役割を分担し、監督やコーチの前に選手同士で問題を処理する。ロバーツ監督の言葉が、選手間の会話として自然に共有される状態にまで成熟しているという。監督のメッセージを〝上から押しつける〟のではなく、クラブハウスの共通言語に変えているところが強い。
しかも、この空気はただの仲良し集団ではない。大谷であっても例外扱いされず、助言や修正点は率直に伝えられる。ベッツが「遊撃挑戦」でロハスに学び、そのベッツを若手のアレックス・フリーランド内野手(24)が頼り、スミスが正捕手争いの相手にもなり得るダルトン・ラッシング捕手(25)に助言を送る。立場の違いが壁ではなく、まさに〝継承の回路〟になっているのだ。そこに大谷の愚直なルーティン、山本の順応力、佐々木のような新戦力も自然に乗れる。
明るさの正体は、陽気さそのものではない。全員が「自分の数字」より「優勝リング」を優先するという共通理解があるからこそ、余計なギスギス感も生まれないのだ。スターだらけなのに空気が軽い。豪華なのにまとまっている。ドジャースの〝勝ち疲れしない強さ〟は、結局そこに尽きる。クラブハウスが明るいのは、ただ単に勝っているからではない。勝ち続けるためのルールが、すでに隅々まで浸透しているからだ。












