福岡の街を“風”で味わう魅力が、新たなステージへ――。西日本鉄道が運行する「FUKUOKA OPEN TOP BUS(福岡オープントップバス)」が進化する。3月28日から14年ぶりの新型車両が導入され、天神と太宰府を結ぶ新コースも加わる。本紙記者も一足先に試乗し、街を見下ろす開放感と臨場感を体感した。累計利用者約60万人を誇る人気バスは、福岡観光の楽しみ方をどう塗り替えるのか。
2012年に運行を開始したオープントップバスは、屋根のない2階建てで福岡の街を巡る。福岡市の提案を受けて導入され、現在では市を代表する観光の目玉へと成長した。
「福岡を象徴する観光資源として、徐々に定着してきていると感じています」。西日本鉄道自動車事業本部未来モビリティ部高速・企画担当の空閑水輝さん(25)はそう手応えを示す。SNSなどでも話題を集め、利用者の約3割を海外客が占める。韓国、中国、台湾などアジア圏が中心で「海外からの利用もかなり増えてきた印象です」と語る。
今回の新型車両は14年ぶりの更新となる。「より観光シンボルとして定着させたいという思いと、車両の経年もあり、このタイミングで導入しました」。新車両は英国ライトバス社製で定員46人。従来より10席増え、目線の高さも上がったことで「標識が近く感じるなど、違いをはっきり実感できます」。さらに開閉式の屋根を採用し、「急な雷雨でも途中で運行を取りやめずに済むケースが増える」と安全面も強化された。
デザインには桜や梅、博多織の献上柄など福岡らしさを落とし込んだ。「福岡のシンボルとして愛されたいという思いから、地域性を意識しました」。2台それぞれに異なる意匠を施し、走る姿そのものでも魅力を発信する。
新設される太宰府コースは、天神と太宰府という福岡有数の観光地を結ぶルートだ。「オープントップバスも太宰府も観光資源。親和性が高いと考えました」。都市高速を走ることで開放感が際立ち、福岡空港付近では航空機を間近に見られる。「頭の上を飛行機が通るようなシーンもあり、かなり迫力があります」。従来コースにはない臨場感が特徴で「目的に応じて選択肢が広がった」と手応えをにじませる。
オープントップバスの魅力は、移動そのものが観光になる点だ。「風を感じながら走れる特別な体験ができる」。3・3メートルの高さからの眺めに加え、バスアナウンサーの案内でグルメや観光情報にも触れられる。走行中には沿道の人々が手を振る光景もあり、「乗客も手を振り返して、地域とのつながりを感じられるのが魅力」と笑顔を見せた。
季節によって街の表情が変わるのも特徴だ。「桜や紅葉など、その時々の福岡の景色を楽しんでいただける」。普段とは違う目線から街を一望できる特別感が、リピーターを生んでいる。また、多言語音声ガイドを導入し、韓国語、英語、中国語(簡体字・繁体字)に対応。「海外の方にも安心して楽しんでいただける環境を整えています」と強調する。
今後については「まずは太宰府コースをしっかり定着させたい」とした上で、「利用者の声を踏まえ、新しいコースも前向きに検討したい」と展望を語った。「福岡には観光地やグルメなど多くの魅力があります。その中にオープントップバスという選択肢を加えていただきたい」。新型車両と新コースの誕生により、福岡観光はさらに立体的で体感型のものへと進化していく。















