日本人は「三**」という言葉が大好きです。例えば「三名園」といえば、兼六園(石川)、偕楽園(茨城)、後楽園(岡山)のことですし、三大中華街は、横浜中華街(神奈川)、神戸南京町(兵庫)、長崎新地中華街(長崎)です。

 もちろん、温泉にもたくさんの「三**」が存在します。代表的なものを紹介しましょう。

 ●三大名泉…有馬温泉(兵庫)、榊原温泉(三重)、玉造温泉(島根)。「三名泉」は林羅山という学者が挙げたものですが、こちらは平安時代中期の清少納言「枕草子」に「湯は七栗の湯(榊原温泉)、有馬の湯、玉造の湯」とあることに由来しています。

 ●三古泉…有馬温泉、道後温泉(愛媛)、白浜温泉(和歌山)。720年に完成した「日本書紀」に、開湯について記されていることに由来しています。ちなみに、有馬温泉と道後温泉は「古事記」にも記載があります。

 ●三大美肌の湯…嬉野温泉(佐賀)、斐乃上温泉(島根)、喜連川温泉(栃木)。中央温泉研究所と温泉評論家の藤田聡氏によって、肌に対する効能がある温泉として選ばれました。いずれも泉質はアルカリ性で、ぬめりを感じるのが共通点のようです。

 ●奥州三名湯…鳴子温泉(宮城)、秋保温泉(宮城)、飯坂温泉(福島)。何をもってして三名湯とするのかという由来は明らかではありませんが、いずれも歴史のある温泉です。

 ●三大薬泉…有馬温泉、草津温泉(群馬)、松之山温泉(新潟)。古くから薬効の高いことで知られた温泉を並べたもの。事実、草津温泉は明治時代に日本へ招かれたドイツ人医師エルヴィン・フォン・ベルツによって、難病に効く湯治場とされました。

 ◆平川陽一 早稲田大学卒。主に歴史ミステリーの分野で活躍。著書に「世界遺産・封印されたミステリー」「戦争で読む日本の歴史地図」「日本列島 名城の謎」などがある。