フィギュアスケート男子で五輪2連覇を達成したプロスケーター・羽生結弦(31)が座長を務める「羽生結弦 notte stellata」の2日目が8日、宮城・セキスイハイムスーパーアリーナで開催された。自身の演技を通じて希望の光を届けた羽生は、かねて復興の象徴として尽力。リンク外でも自身の軌跡を紹介することで、復興への願いを世の中に発信している。

 羽生自身も被災した東日本大震災の発生から、11日で15年となる。自らの心や被災地と向き合う中で「強く生きているんだということを何か表現したい」との思いを込め、新演目の「Happy End」を披露。大トリではデービッド・ウィルソンさんが振り付けた「八重の桜」を力強く演じ、会場からは大歓声が沸き起こった。

 被災当時の羽生は16歳。月日が流れ、立場も変わった。それでも、故郷・仙台への気持ちがブレることはない。リンク外では仙台市の観光アンバサダーも務める羽生の軌跡や、仙台の魅力を紹介する「羽生結弦と仙台市展 復興とその先の未来へ」が4日から開催中。仙台市の担当者は「羽生さんは積極的に仙台で活動をしてくださっている。私たちも一緒に仙台を盛り上げていければという形で考えている」と狙いを説明した。

 当イベントを企画する上で、羽生サイドも快く承諾。会場には震災時にアイスリンク仙台で履いていたスケート靴や、震災が起きた2011~12年シーズンに着用した衣装などが展示されている。同担当者は「被災した際の状況から乗り越えていくところが、今回の展示に表れていると思う」と口にした。

羽生結弦が被災時に履いていたスケート靴
羽生結弦が被災時に履いていたスケート靴

 復興に向けては震災を後世に伝えていくのもポイント。羽生の取り組みは大きな意義を持っている。イベント前の段階で8000人以上から入場券の事前申し込みがあった。さらに、外国人用の申し込みフォームを作成したところ、22か国約400人から連絡が来たという。同担当者は「日本にとどまらず、海外の方にも仙台の状況を知ってもらえる貴重な場になっている」と反響を明かした。

 また、袴地の最高峰ブランド「仙臺平」と当イベントがコラボした商品を展示。羽生の紋付羽織袴姿をイメージした限定品を数量限定で販売する取り組みも実施するなど、地元特産品のPRにも一役買っている。同担当者は「『仙臺平』は仙台の伝統的な工芸品になるので、そういったものも羽生さんと一緒に広く発信していきたい」と語った。

 今の子供たちは震災を経験していない。世間でも震災の風化を懸念する声も上がっている。だからこそ、羽生は「『こんなことがあったんだよ』『こんなことがあったから、こういうふうに(命を)守るっていうことを学んだんだよ』というのはずっと続けていきたい」。若き日に震災の伝承者としての覚悟を決めたスケーターは、これからも精力的に活動を行っていく。