厳罰か、寛大な処分か――。大相撲春場所(大阪府立体育会館)が8日、初日を迎えた。今場所は大関安青錦(21=安治川)が綱取りに挑む一方で、場所前には伊勢ヶ浜親方(34=元横綱照ノ富士)が弟子の幕内伯乃富士(22)に対して暴力を振るう騒動が勃発。土俵上の熱戦に暗い影を落としている。同親方に対する正式な処分は、春場所後に開かれる理事会で決まる見通し。角界内では、その処遇に今から注目が集まっている。

 師匠による暴行騒動の渦中にある伯乃富士が、沈黙を破った。幕内欧勝馬(28=鳴戸)に敗れて黒星発進となった取組後、今回の一件について初めて言及。「ご迷惑、ご心配をおかけして本当に申し訳ない気持ちです」と謝罪の言葉を口にした。一方で「昨日師匠と、しっかり相手を起こして前に攻める相撲をやり切るという話をしました」と語り、伊勢ヶ浜親方と会話を交わしたことを明かした。

 今場所前、伊勢ヶ浜親方が伯乃富士に暴力を振るう騒動が勃発。同親方は日本相撲協会に自らの行為を申告し、伯乃富士らとともに事情聴取を受けた。関係者によると、伯乃富士の酒席での〝行き過ぎた行為〟に同親方が立腹。師匠がこぶしで弟子の顔面を殴打したという。加害者となった伊勢ヶ浜親方は暫定的な措置として春場所を休場。正式な処分は場所後に開かれる理事会で決定する見通しだ。

 そうした中、協会内では伊勢ヶ浜親方の処遇がもっぱらの関心事。角界関係者は「親方衆の多くが『軽い処分はあり得ない』と言っている。(先代)宮城野親方(元横綱白鵬)は、弟子の不祥事で部屋が閉鎖になった。伊勢ヶ浜親方は弟子に直接暴力を振るった以上、最低でも師匠から降りなければ(処分の)つじつまが合わなくなる」と全体に漂うムードを解説した。

 白鵬氏は弟子だった元幕内北青鵬による暴力行為の監督責任で、2階級降格と報酬減額の懲戒処分を受けた。さらに師匠の座を剥奪され、部屋も無期限閉鎖に。最終的に角界を去ることになった。伊勢ヶ浜親方は自ら不祥事を申告したことや、伯乃富士に落ち度があったとしても、元横綱の師匠が弟子に暴行を働いた点で責任は重大。情状酌量の余地はないとの見方が広がっている。

 大相撲では、元横綱日馬富士が2017年に傷害事件を起こして引退。これをきっかけとして相撲協会は翌18年に「暴力決別宣言」を発表したが、その後も暴力の根絶には至っていない。果たして協会は伊勢ヶ浜親方に対して厳罰を下すのか、それとも寛大な処分にとどめるのか。角界全体が、かたずをのんで処分の行方を見守っている。