誰も手伝ってくれなかったのか。警視庁は公選法違反(買収)の疑いで、8日に投開票が行われた衆院選に国民民主党公認で出馬した入江伸子容疑者ら3人を逮捕。入江氏は元都議で東京7区から国政に挑戦していた。選挙は初めてではなく公選法は理解していたはずだが――。

 逮捕容疑はSNS運用会社社長の菅原京香容疑者らと共謀して、1月下旬から2月上旬に女子大生5人に選挙運動の報酬として計27万円を支払った疑いがある。入江容疑者から運動員の募集を、菅原容疑者に依頼。菅原容疑者はビラ配りなどをした運動員らに報酬を受け取ったことについて口外しないよう要求していたという。

 入江氏はフジテレビ社員を経て、2017年に都民ファーストの会公認で都議選に港区から出馬して当選。2期務めた。3期目に向けて都民ファから25年夏に行われる都議選の公認が出ていたが、直前に国民民主党に移籍していた。

 実はこの移籍が問題だった。都政関係者は「入江氏の都民ファ離党はまったく円満ではありませんでした。もともと国政に意欲を持っていた入江氏は、24年の年末に勝手に国民民主党サイドに履歴書を送っていたのです」と明かした。

 都民ファとしては入江容疑者の離党は仕方ないにしても、港区の後継候補は自分たちから出したかった。一方で国民民主党は24年の衆院選で躍進して勢いに乗っており、都議選にも多くの候補者を立てたかった。

「都民ファは『入江氏の移籍を認める代わりに、後継候補は都民ファから』という交渉を国民民主党とできればよかった。しかし、国民民主党サイドからは『そちらのオウンゴールでしょ』と突っぱねられた」(同)

 国民民主党にすれば入江容疑者は引き抜いたわけではなく勝手に来た形なので、この対応も無理はない。結局、25年夏の都議選で港区に候補者を立てたのは都民ファではなく、国民民主党だった。

 こうした経緯があるゆえに、入江容疑者が国政にチャレンジする際に、古巣の都民ファの支援はまったく期待できなかった。そして、急な不意打ち解散。入江容疑者が国民民主党から公認されたのは公示の4日前だった。選挙を手伝ってくれる人材に困っていたのか。