ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート男子フリー(ミラノ・アイススケートアリーナ)が13日(日本時間14日)に行われ、世界選手権2連覇中の絶対王者イリア・マリニン(米国)が凡ミスを連発してフリー15位と撃沈し、総合8位惨敗と世紀の波乱劇を演じた。

 五輪史上に残るまさかの大失速に世界で衝撃が広がる中、ロシアフィギュアスケート界の〝皇帝〟エフゲニー・プルシェンコ氏が、ロシアメディア「スポーツエクスプレス」でフィギュアスケート男子を総括し、マリニンの敗因をズバリ指摘した。

「まずはイリアから話そう」と切り出したプルシェンコ氏は、「私の意見では、彼は絶対に4回転アクセルに挑戦すべきではなかった。バタフライジャンプをしてバランスを崩し、ギアチェンジに失敗し、全てが台無しになってしまった…」と断言。マリニンの代名詞である4回転アクセルへの挑戦が最大の敗因だったと解説した。

 その理由をこう詳説する。「フリースケーティングでは、メダル候補の上位選手たちがミスを犯した。(金メダルの)シャイドロフだけは例外だったが。だから、マリニンはただクリーンな演技をすればよかったんだ。4回転アクセルもループも不要だった。もはやそれらは不要だったんだよ」。ショートプログラムで首位に立ち、フリーでも普段から圧倒的なプログラムを構成するマリニンは、リスクを負うジャンプを避けて難度を下げる〝安全策〟を取るべきだったと主張する。

「イリアのプログラムはよく知っているよ。目隠しをしても滑れるだろうね。4回転を3本に絞ってもよかったかもしれない。最悪でも、あと1本決めれば楽勝だったはずだ」。必殺技とも言える4回転アクセルは諸刃の剣であり、挑戦したことが裏目に出たというわけだ。

「4回転アクセルはリスクを伴う。単なるウルトラC要素ではなく〝スーパー〟なものであり、膨大なエネルギーを必要とする。団体戦で成功させることは理にかなっている。ショートプログラムで成功しなくても、フリープログラムで成功させようと。彼自身を試す機会となり、成功すればオリンピックでこのジャンプを成功させた最初のスケーターとして歴史に名を残すことになる。まさにイリアが夢見ていたことだ」と個人戦ではなく団体戦での大技挑戦は理解できるとしつつ、こう続ける。「団体戦では2回4回転アクセルを試みたものの、それでも挑戦する勇気がなかった。これは彼が不安を抱えていたことを示している。個人戦では、この不安はさらに顕著だった」。団体戦の滑りから万全の状態にないことは明らかだったので、フリーではなおさら挑戦してはいけなかったと持論を語った。

 そして「マリニンを見て、すぐに私の2002年ソルトレークシティ五輪を思い出したよ。シーズンを通して誰にも負けず、優勝候補と目されていた。金メダルという一つの目標を掲げてオリンピックに臨んだ。そして、燃え尽きてしまった。純粋な情熱のせいで」。大本命で臨みながら金メダルを逃した自身の姿と重ねていた。