〝雪の結晶〟に込めた思いとは――。ミラノ・コルティナ五輪(ミラノ・スピードスケート競技場)のスピードスケート女子1000メートルが9日(日本時間10日)行われ、高木美帆(31=TOKIOインカラミ)が1分13秒95で銅メダルを獲得した。日本をけん引するエースは、五輪への情熱をデザインで表現。所属先の冬廣應尚社長と「team GOLD」のスタッフが明かした。
会場はオランダファン一色の大アウェー。最終組で同走した金メダルのユタ・レールダム(オランダ)に対し、大歓声が響き渡った。終始リードを許す苦しい展開ながら「自分がやれることを最大限やる」と表彰台を死守。夏冬通じて日本女子の五輪最多メダル数を8に更新した。それでも「ここまで来れた安堵も少なからずあったけど、表彰台でメダルの色を見た時に『銅メダルなんだ』と感じて、悔しさがこみ上げてきた」と唇をかんだ。
近年は「完璧に仕上がってレースに臨むことはあまりない」と試行錯誤を繰り返す日々。スケート靴のブレード(刃)を変更するなど、さまざまな形で光を探した。この日も100%の出来だったとは言い難い。ただ「この悔しさを糧にしていきたい。まだたくさんレースがあるので、このままでは終わらせない」と前を向いた。
その高木がこだわってきたのが、競技で身に着けるものへの〝愛〟だ。2023年春から現所属先で活動。その際に、国内外での練習や試合で着用するレーシングスーツのデザインを一新した。幼少期から雪が好きで、以前はスケート靴に雪の結晶を描いていたこともある。日体大時代は「桜」を背負ったものの、旅立ちのタイミングで雪の結晶を採用することに決めた。
高木の要望を受け、所属先のデザイナーが雪の結晶のデザイン案を作成。その後の打ち合わせですぐさま大枠が固まった。当時の様子を冬廣社長は「7~8種類のデザインを用意したが、1個すぐ選んでいて、さすがだなと思った。そこからブラッシュアップしてデザインが決まった感じだった」と振り返る。
雪の結晶には「しなやかさ」もイメージ。どんなスケーティングを求めるのか、どんな姿で氷上に立ちたいのか――。思いを言語化して、一つのデザインとして表現した。高木は「シンプルだけど大切にしていきたいものを詰め込んだ」。リンク内外で妥協なき姿勢を貫き、モチベーションアップにつなげていた。
雪の結晶の数にも意図が隠されていた。「team GOLD」のスタッフは「腕にある雪の結晶の個数で、五輪までの年数をカウントダウンしている」と明かす。高木にとって今大会は一つの集大成。五輪イヤーの今季は、腕に描かれた雪の結晶が1個のみだ。常に目標を思い出せるようにすることが狙いだったという。
今大会は日本代表のレーシングスーツを着用しているため、慣れ親しんだ〝相棒〟とは一緒に戦えないが、そこに込めた大切な思いとともに大舞台へ臨んでいる。
今大会の最大の目標は、2大会連続銀メダルの1500メートル(20日=同21日)での金メダルだ。3度目の正直へ「確実に調子は上がっている。最終種目の1500メートルまで、もっともっと上げていく覚悟をまた新たに持った」。満開の花を咲かせる準備は整っている。














