衆院選が8日投開票され、自民党の森下千里氏(44)が、宮城4区で長らく地盤を築いていた中道改革連合共同幹事長の安住淳氏(64)を破って当選した。〝辻立ちクイーン〟として地元で支持を拡大していったことが大きな要因だが、勝因はそれだけではない。SNSの運用でも両者の間には大きな差ができてしまった。

 名古屋市出身の森下氏は宮城県石巻市に引っ越し、21年3月の衆院選に出馬するも安住氏に敗れた。24年10月の衆院選では比例東北ブロックで立候補し当選。昨年、発足した高市内閣で環境大臣政務官に就任した。

 今回の衆院選宮城4区で12万4250票を獲得した森下氏は、7万8671票の安住氏に大差を付け、小選挙区で初勝利。当選確実が出ると、とびきりの笑顔で「ここからがスタートだと思ってます。引き続き頑張ります。地域再生を第一に。人口減少も進んでますし、やれるところから」と力を込めた。

 勝因は、辻立ち(街頭演説)だ。街頭に立ち、政策や思いを訴えた結果、付いた異名は〝辻立ちクイーン〟。陣営関係者は「雨の日も風の日も炎天下の日も立ち続けて、知ってもらえるようになった」「彼女は、辻立ち1本でずっとやってきた。初選挙の時からこれまで合計約7000回行った」と語った。森下氏も「皆さんに思いが通じたと思うとうれしいです」と喜んだ。

 森下氏が地域密着型の活動で支持を広げていった一方、安住氏は党の要職に就いているため応援演説で全国に赴き地元を離れることも多かった。そこに高市旋風が吹き荒れ、中道への逆風も強まる一方で、森下氏は当選10回の大物に大差をつけた。

 ただ勝敗を分けたのは、それだけが理由ではない。SNS活用がトドメを刺した。森下氏は演説の様子だけでなく予定を告知するなど、適切にSNSを活用した一方で、安住氏は〝クリームパン動画〟で炎上してしまった。

 移動中の車内でクリームパンを食べる動画をインスタグラムに投稿し「僕はね、クリームパン好きなの。甘いものの中で1番。朝はこれだな。ゆっくりレストランでご飯なんか1か月食べてないね。戦だから」と語っていた。しかし、足を組んでいたためか「態度がデカい」「横柄だ」と反感を買い、炎上してしまったのだ。別の動画では、応援演説の場で手をポケットに入れる姿が批判された。

 安住氏は開票後、オンラインで支持者に「私の不徳の致すところ」と謝罪。「私自身に対するSNSの誹謗中傷を含めて、大変な状況になってしまった」と漏らした。

 比例復活もならなかった安住氏は、党の共同幹事長を辞任すると報じられた。大金星をあげた森下氏にはこれから大きな期待が寄せられる中、安住氏の今後は――。