新たなスター誕生の予感だ。大相撲初場所4日目(14日、東京・両国国技館)、幕内義ノ富士(24=伊勢ヶ浜)が横綱大の里(25=二所ノ関)を上手投げで撃破。2日連続の金星獲得で星を2勝2敗の五分に戻した。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)は、若手ホープの相撲内容を徹底解説。「大関ではなく横綱を目指しているような相撲」と絶賛した。

 初場所の土俵に旋風を巻き起こした。義ノ富士は大の里を突き起こしてから素早く左上手を取ると、相手が出てきたところで投げを一閃。192センチ、188キロの横綱を裏返しにすると、結びの波乱に騒然となった館内では座布団が舞った。前日には横綱豊昇龍(立浪)を倒し、2日連続の金星。61本の懸賞袋を小脇に抱えながら堂々と花道を引き揚げた。

懸賞金を抱えて花道を引き上げる義ノ富士
懸賞金を抱えて花道を引き上げる義ノ富士

 大の里からは先場所に初金星を獲得しており、現役最多の優勝5回を誇る横綱を連破。取組後は「(上手投げは)とっさです。体を開いてうまく相手の力を使って投げられた」とうなずくと、懸賞には「最高です」と素直に喜んだ。ただ、浮かれる様子はない。「うれしいけど、場所は終わっていない。しっかり自分の相撲を取って、まずは勝ち越したい」と地に足をつけた。

 秀ノ山親方は「義ノ富士の方が立ち合いの踏み込みが良く、横綱の上体を起こして上手を取る流れ。大の里は先手を取られて余裕をなくしてしまった印象。慌てて上体が浮いたまま出たところで、投げのえじきになった」と相撲内容を分析。「義ノ富士には精神的な強さを感じる。横綱が相手でも全く気後れせずに向かっていた」とメンタル面にも目を見張った。

 昨年名古屋場所は新入幕で優勝争いに加わり、技能賞と敢闘賞をダブル受賞。先場所は大の里から初金星、今場所は2日連続の金星と快進撃は止まらない。秀ノ山親方は「地力、馬力がある。小手先ではなく、しっかり相手に圧力を伝えながら勝っているから、強さは本物」と実力に太鼓判。「大関ではなく横綱を目指しているような相撲」と絶賛した。

 秀ノ山親方は大相撲の今年一年を占う中で、義ノ富士の大関昇進を予測。今場所の経験を通じて、さらに成長速度が加速するとみている。「もちろん稽古場も大事だけれど、本場所で勝つことが一番の自信と成長につながる。独特の雰囲気がある横綱との結びで堂々と結果を出した。ここからどこまで成長するのか楽しみ」と大きな期待を寄せた。

 今場所の番付は自己最高位の西前頭筆頭で、新三役は目前。角界の新たなスター候補の土俵から目が離せない。