台湾有事に関する高市早苗首相の国会答弁に対し、中国の反発が日に日にエスカレートしている。日本外務省の金井正彰アジア大洋州局長は18日、中国外務省の劉勁松アジア局長と北京で協議した。高市氏の国会答弁を巡り、中国側は改めて答弁撤回を要求したが、日本側は応じない考えで、日中間の緊張が高まり続けている。長引けば沖縄にも波及しかねない。

 中国メディアによると、11月10日からわずか1週間で、外交部、文化観光部、教育部、駐日中国大使館、台湾事務弁公室、国防部、中国海警局など、中国の複数の機関・部門が、日本に対して16回も声明や対抗措置を発表したという。11月22日、23日に南アフリカで開催されるG20サミットに出席する李強首相は、高市氏との会談を予定していない。また、中国当局は、「映画クレヨンしんちゃん  超華麗!灼熱(しゃくねつ)のカスカベダンサーズ」など、日本映画の上映を一時停止した。

 日中両国で大きく報じられているのは、中国から日本への観光客が減少したことだ。中国外務省領事部は中国国民に対し「近い将来、日本への渡航を控えるように」と強く求めた。15日以降、中国発日本行きの航空券49万1000枚以上がキャンセルされた。

 中国事情通は「日本の報道では、オーバーツーリズムがちょっと落ち着いたから、観光制度を見直すいい機会だという論調すらあります。痛手を受けるのは、日本より中国でしょう。中国・日本間の航空市場は中国の航空会社によって支配され、上位5社はすべて中国に拠点を置いており、中国の航空会社の方が日本の航空会社よりも打撃が大きいといわれています。また、中国人の日本での団体旅行は、中国のバス会社のバスで中国人経営の土産店や飲食店を回り、お金を落とす仕組みになっています」と指摘する。

浅草の浅草寺を訪れる中国人韓国客(11月18日、ロイター)
浅草の浅草寺を訪れる中国人韓国客(11月18日、ロイター)

 中国側がダメージを受けてまで、高市発言をきっかけに日本に圧力をかけているのはなぜか。

「トランプ政権下で米国がアジア太平洋地域での影響力を低下させれば、日本が韓国やオーストラリア、インドなどと連携し、中国のアジア支配を阻む壁を築く同盟ネットワークの中核となる可能性を中国は想定しています。(圧力をかける)最大の理由は、習近平国家主席のメンツの問題でしょう。習氏は10月末に高市氏と会談し、中国はその後、日本産水産物の輸入再開や日本人の短期ビザなし渡航の延長を発表したのに、高市氏が台湾問題について公の場で発言したことは〝メンツを立てた後の反撃〟で許されないことなのです」(同)

 そんな中、台湾も日中の緊張を大きく報じ続けている。台湾メディア「今日新聞」は18日、「中国は日本けん制のために〝琉球カード〟を切るのか?」と報じた。

 同メディアによると、中国国営メディア「中国日報」傘下のドキュメンタリー映像メディア「起底工作室」が15日に「琉球の地位未定論」に関する映像を公開した中で、「高市氏の発言は中国への宣戦布告に等しく、沖縄の人々に大きな不安を与えている」と伝えたという。

 これを受け、今日新聞は「中国は〝琉球問題〟を利用して世論面で日本をけん制したい考えはあるものの、領土に関する明確な立場や主張を直接示す必要は現段階ではないとみられる。ただ、広く知らしめて『このカードをいつでも使える』状態を保つだけで、一定の戦略的効果を得られるというわけだ」と分析した。

 日中間の緊張が続けば、この先、中国が沖縄について言及してくるかもしれない。