小泉進次郎氏の防衛相案をめぐって賛否両論が渦巻いている。自民党の高市早苗総裁は14日、両院議員懇談会で公明党との連立解消を所属議員に謝罪した。21日で調整されている首相指名選挙の行方もおぼつかない中、党内からは高市批判は起きていない。野党とのギリギリの調整が続けられる一方で小泉農相が防衛相に起用されるとの報道が出たことが波紋を呼んでいる。

 公明党の連立離脱とともに選挙協力も白紙となることから自民党の選挙は厳しいものになると予想されている。それだけにこの日の懇談会で高市氏の責任を問う声が上がっても不思議ではなかったが、実際は「批判はなかった」(出席議員)。

 まずは首相指名選挙を乗り切ろうというわけで、さっそく自民党も野党も動き出している。自民党は国民民主党と幹事長会談を行い、日本維新の会へも幹部レベルで協力要請を行った。一方で立憲民主党と国民と維新も幹事長会談を行い、15日には党首会談を行う。高市氏も15日に立憲、維新、国民とそれぞれ党首会談するという。

 首相のイスをめぐって交渉が続けられるなか、14日には高市氏が首相になった場合に小泉氏の防衛相起用案と林芳正官房長官の総務相起用案のニュースが永田町を駆けめぐった。特に小泉氏の防衛相起用案にSNSが激しく反応したのだ。

「ふざけんなと思ったけど意外とアリか?」「今日はエープリルフールじゃないと思うが」「自衛隊をセクシーにするの?」「絶対あかん」「教育の一環?」「おぼろげな防衛じゃ国は守れんぞ」「自衛隊と相性はいいかも」――。

 どうして防衛相なのか。高市氏への批判が出かねない懇談会の前に小泉氏と林氏の人事をリークすることで双方の陣営をなだめるという意味があるのか。

 あるベテラン自民党議員は「いや、そういうことでもないでしょう。林氏は地方を回りたい意向を持っていたというので総務相は適任ですね。小泉氏の防衛相はどういうことでしょうか。考えられるのは小泉氏の祖父である小泉純也氏が防衛庁長官を務めていたことです。(祖父に続いて孫が就任すれば)話題になるという狙いがあったのでしょう」と推測した。

 小泉純也氏は池田勇人内閣と佐藤栄作内閣で防衛庁長官を担当。また、小泉氏の地元・横須賀には海上自衛隊の基地がある。小泉氏自身も過去に衆院安全保障委員長を務めていたこともあり、防衛省とは縁があった。

 もっとも防衛相が適任かどうか以前の問題もある。別の自民党議員は「そもそも組閣できるかどうか。今、閣僚人事がポロポロ出てくるのはよくない。傲慢な姿勢に映る。だから、小泉氏が防衛相にどうかということを今の段階でコメントするのはおかしい」と筋論を訴えた。

 前出のベテラン議員も「首相になっていないのに閣僚人事が出たことは公明党を刺激したでしょう。特に官房長官に木原稔氏を検討という報道があったが、木原氏の地元熊本では木原氏と公明党は必ずしもいい関係とはいえない。この人事案も公明党には不満だったはずですよ」と指摘。木原氏の官房長官案は総裁選翌日の5日には報道されていた。

 高市氏が首相に選ばれないと小泉防衛相案も絵に描いたモチで終わってしまう。