大相撲秋場所は14日、東京・両国国技館で初日を迎える。今場所は大の里(25=二所ノ関)と豊昇龍(26=立浪)が横綱初優勝を目指すほか、関脇若隆景(30=荒汐)が大関取りに挑戦する。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)による連載「がぶりトーク」では、審判として同行した8月の夏巡業の様子をリポート。有力力士の動向を踏まえた上で、秋場所を展望した。

【秀ノ山親方・がぶりトーク】読者のみなさん、こんにちは! 8月の夏巡業には、私も審判部の一員として参加させていただきました。力士は夏場の過ごし方で、その後の成長の度合いが大きく変わると言われています。特に巡業の稽古は、普段はやらない相手とも手合わせできる貴重な機会。この1か月間は、私も興味を持ちながら各力士の稽古を見守っていました。

 秋場所の優勝争いは、やはり地力で勝る大の里が本命とみています。ただ、夏巡業の稽古内容は、物足りない印象でした。相撲を取る日もあれば、軽めの基礎運動とぶつかり稽古で胸を出して終わる日もあった。横綱と言っても、大の里はまだ若い力士。師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)が同じぐらいの年齢のころは、巡業の稽古でほぼ毎日のように相撲を取っていました。

 師匠の現役時代の姿を知っているだけに、歯がゆさを感じてしまったんですね。先場所の大の里は、新横綱で11勝と一定の成績は残しました。一方で、4個の金星を配給したことが響いて賜杯には届かなかった。横綱初優勝のカギは、格下への取りこぼしをなくすこと。その課題を克服するためにも、もっとガンガン稽古してほしかったというのが率直な感想です。

 私自身、夏巡業で各地を巡ってみて、大の里に対するファンの期待の大きさを肌で実感しました。特に地元・石川の巡業では、ものすごい盛り上がりだった。大の里は横綱になって終わりではなく、今後の努力次第でもっと大きな存在になれる力士。応援してくれる人たちの期待に応えるためにも、さらにひと皮むけるような稽古を積んでもらいたいですね。

 豊昇龍は先場所のケガ(左足親指)の影響で夏巡業は途中からの参加でした。合流直後は精力的に稽古をしていたけれど、後半は左肩を痛めてペースダウンした。本人も当初に思い描いていたイメージと比べて、調整が遅れていると感じているのでは。初日まで残り2週間を切った中で、どれだけ体をつくっていけるか。そこが本番の成績を左右するポイントになると思います。

 夏巡業の稽古でいうと、今場所で大関取りに挑む若隆景も印象に残りました。稽古の番数こそ多くはなかったけれど、一番一番に自分の相撲を取り切ろうとする強い意志を感じたんですね。持ち味の下からの厳しい攻めを徹底して、力を抜くようなしぐさは全く見せなかった。大関になる資質は十分に備えているし、優勝候補の一角にも挙げたいですね。

 それ以外の力士では、若手の草野と伯桜鵬が夏巡業で積極的に稽古をする姿が目立ちました。先場所は草野が新入幕で敢闘賞、伯桜鵬も大の里から金星を挙げた。若い力士が着実に力を付けてきているし、今場所では優勝争いに絡んでくる可能性もある。上位陣と若手の直接対決にも、注目したいですね。それではまた!