【取材の裏側 現場ノート】〝ジャガー〟の愛称でおなじみのFW浅野拓磨(30=マジョルカ)が、開幕から2試合連続スタメン出場するなど今季も自慢のスピードでサポーターを魅了している。
浅野の快足が世界を震撼させたのが、日本代表として参加した2022年カタールW杯だ。1次リーグ初戦のドイツ戦。途中出場の浅野は1―1で迎えた後半38分、ロングパスから驚異的なスピードでドイツDF陣を置き去りにし、世界最強GKマヌエル・ノイアーを相手にニアサイドをぶち抜く強烈シュートで決勝ゴールを奪った。
優勝候補のドイツを撃破する一撃は列島を沸かせたが、他にもある場面が注目の的となった。同18分にスルーパスから抜け出した浅野を追いかけたDFアントニオ・リュディガーが、大げさに両足を高く上げる奇妙な走りで競ってきたのだ。これにはMF本田圭佑が「バカにした走り方」、ドイツ代表OBのディートマー・ハマン氏も「ごう慢だ。リスペクトに欠ける」と苦言を呈するなど、世界中からリュディガーに批判が殺到する大騒動となった。
大会期間中はこの件について浅野は多くを語らなかったが、W杯からしばらくたった後、ぶっちゃけどう思っていたのか本人に聞いてみた。
「その時はシンプルに、変な走り方のやついるなと思っただけで…おちょくっているという感覚はなかった。彼はおれをおちょくってあの走り方になったわけじゃなくて、ああいう走り方をちょくちょくする選手というだけ。試合が終わった後に、ネットでいろんな話題になっていたけど、その感覚はなかった」と〝挑発〟の意図はなかったと受け止めている。
問題の場面では、後ろから追いつかれてチャンスを防がれたこともあり「ただシンプルに、めっちゃ速いやついるなと。自分のコンディションも正直、ケガ明けで100%のスピードを発揮できる状況じゃなかった。自分の状態をあのシーンで再確認させられた。まったく勝てないな、全然走れないなと、あの瞬間は思っていた」。ここで冷静に自らの状態を見つめ直したことが、一世一代のチャンスをものにする最高の結果につながったのかもしれない。(運動部・渡辺卓幸)













