【石原結實 病気を吹き飛ばす食図鑑】ニシンは、親潮など寒流に育ち、カムチャツカ、アリューシャンあたりを回遊し、春になると北海道に姿を現す。

 ニシンは「鰊」とも「鯡」とも書くが、「鰊」は「東で多く捕れる魚」という意味があり、「鯡」は米作のできなかった松前藩(北海道)で「米ではないが米と同等の価値がある」という意味を込めて「魚に非ず」となった由。

 ニシンは小骨が多く、嫌いな人も少なくないが、ニシンの卵である「数の子」は正月のおせち料理に欠かせない誰にも好かれる食材である。

 魚卵である「数の子」には、遊離アミノ酸の「タウリン」が多く含まれ、(1)血圧低下(2)血液サラサラ効果(3)心臓や肝臓の働きの強化(4)疲労回復…などを発揮するが、「数の子」の親=ニシンも、その健康効果は負けていない。

 本朝食鑑に「(ニシンは)腸を助け、陰を補い、腹中を温め、気を健やかにする」とあるように、胃腸の働きをよくし、気力、体力をつける効能がある。

 生でも燻製でも、酢漬けでも食べられるが、塩ニシン、コンブ、ジャガイモ、ニンジン、タマネギなどを入れて煮込んだ「三平汁」は滋養強壮食として有名。

 春になると北海道に姿を現していたニシンは、ウグイスが「春告鳥」と呼ばれるように、「春告魚」とも呼ばれていたが、最近では北海道であまり捕れなくなり、今では、ほとんどがロシア等からの輸入に頼っている。

 ◆石原結實(いしはら・ゆうみ)1948年、長崎市生まれ。医学博士。イシハラクリニック院長として漢方薬と自然療法によるユニークな治療法を実践するかたわら、静岡・伊豆でニンジンジュース断食施設の運営を行う。著書は300冊超でベストセラー多数。最新作は「水分の摂りすぎが病気をつくる 日本人が知らない『水毒』の恐怖!」(ビジネス社)。