トランプ大統領とテスラのイーロン・マスクCEOのバトルが繰り広げられた。いったんはマスク氏がクールダウンしたようだが、トランプ氏は側近だったマスク氏を許していないとみられる。トランプ氏の怒りが収まらない限り、かなりのダメージを受けそうだ。
マスク氏は5日、トランプ氏が掲げる歳出・歳入法案「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル(大きく美しい法案)」をX(旧ツイッター)で、「法外で醜悪な利益誘導の塊」「おぞましく忌まわしき法案」などと繰り返し非難した。
そこからトランプ氏とマスク氏のケンカはエスカレートした。トランプ氏はスペースXなどマスク氏の企業に対する政府との契約を打ち切ると脅迫。マスク氏はXで性犯罪者の故ジェフリー・エプスタイン氏に関する文書にトランプ氏の名前があるため公表を控えていると主張。2人は決裂した。
その後、マスク氏は7日、エプスタイン氏の文書に関する投稿を削除し、降参する覚悟を示した。しかし、トランプ氏は、米NBCニュースで、マスク氏が民主党の大統領候補に献金すれば「非常に深刻な結果」に直面するだろうと述べた。すぐに和解するつもりはないようだ。
以前、マスク氏は大統領選でトランプ氏に多額の献金をし、トランプ氏はマスク氏を息子のようにかわいがり、政府効率化省(DOGE)のトップに据えたほどだった。その関係がとうとう決裂したのだ。
なぜ、こうなったのか。トランプ氏の元側近スティーブン・バノン氏は、二つの理由を挙げた。一つは「ホワイトハウスを〝解雇〟されたことが、トランプ氏に対しての個人的恨みになった」。任期切れでDOGEを退任したが、このことを恨んでいるという。
もう一つは「大統領選で2億5000万ドルの寄付をしたことで、トランプ氏に対し、永続的な影響力を持てると思っていたが、誤算だった」。マスク氏は、トランプ氏に大金を献金すれば何らかの見返りがあると信じ込んでいたが、トランプ氏は誰からいくらもらったことなど全く気にしない人間だという。
いずれにせよ、マスク氏にはカネがあり、トランプ氏には権力がある。
米国事情通は「マスク氏の事業が長年にわたり政府から380億ドルの契約、融資、補助金、税額控除を受けていたという報道が出ています。契約解除されるとそのカネが入ってこなくなるということです。またマスク氏が行っているすべてのことは、政府の規制の大きなリスクにさらされています。トランプ氏が意地悪としてできることは、スペースX社のスターリンクのインターネットアクセス、テスラ社の自動運転やニューラリンク社の脳インプラントの規制監督を強化することです」と指摘する。
さらに究極の意地悪がある。
「マスク氏の機密情報取扱許可の取り消しです。軍用スパイ衛星を打ち上げる資格を持つマスク氏は国家安全保障上、機密情報取扱許可を得ています。しかし、マスク氏の薬物使用疑惑と南アフリカ出身の移民申請、中国との関係を徹底調査すれば、ひょっとすると違法薬物使用や不法就労などの問題が出てきてしまい、国外追放の可能性もあります」(同)。
マスク氏が失うかもしれないものは、あまりに大きい。トランプ氏の怒りは収まるのだろうか。












