英国のスターマー首相の不動産などに対する連続放火事件について、諜報機関MI5(保安局)やスコットランドヤード(英首都警視庁)は、背後にロシアが関与している可能性を視野に入れている。当局は、放火容疑で逮捕した3人の男がロシアの関係者によって採用された可能性について捜査中だという。

 5月8日早朝、スターマー氏が首相になる前に住んでいた私邸の隣人に売却したトヨタのハイブリッド車RAV4が自宅近くのケンティッシュ・タウン路上で放火された。5月11日早朝、スターマー氏が1990年代に住んでいたイズリントンのアパートの玄関で火災が発生した。5月12日、ケンティッシュ・タウンのスターマー氏が所有し、ダウニング街(首相官邸)に引っ越して以来義理の妹に貸している私邸で火災が発生した。

 放火に関与したとして、ウクライナ国籍のデジタルクリエーターでモデル志望のロマン・ラヴリノビッチ容疑者(21)、同国籍の自称ファッション起業家ペトロ・ポチノク容疑者(34)、ルーマニア国籍の建設業でモデル志望のスタニスラフ・カルピウク容疑者(26)の3人が放火共謀の罪で起訴された。警察は他にも共謀者がいるとみている。

 MI5、スコットランドヤードは背後にロシアの存在があるとみて調べているという。また、民兵組織から犯罪組織に至るまで、ロシア国内の他の組織がこの3人を勧誘した可能性についても捜査中だ。

 英国事情通は「スターマー首相は2022年のウクライナ侵攻以来、ロシアを激しく批判しています。英国は最もウクライナを支援している国です。首相を狙った陰謀にロシアが関与していることを示す直接的な証拠は見つかっていませんが、ロシアのスパイ集団が〝汚れ仕事〟をさせるため、日本で言うところの闇バイト的に通信アプリ『テレグラム』などで、放火の実行役を雇った可能性があるという説を検証しています」と指摘する。

 昨年10月、MI5のケン・マッカラム長官は「ロシアの軍事情報機関GRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)が英国とヨーロッパの街で持続的な混乱を引き起こす任務を負っている」と警告した。

 昨年以降、リトアニアのイケア、ポーランドのショッピングセンター、英国の倉庫などで放火が相次いだ。フランスのエッフェル塔の下に「ウクライナのフランス兵」と刻まれた棺が置かれた事件もあった。

「西側諸国の諜報機関は最近、ロシアが航空機を爆破し、インフラを破壊し、公共の建物に放火し、ウクライナを支持する著名人を暗殺する計画を明らかにしたと述べています」(同)

 ロシアがウクライナを支援する国々の治安を混乱させようとしているのだろうか。