巨人が22日の阪神戦(甲子園)で延長11回の末に3―2で勝利し、伝統の一戦に連勝。連夜の4時間超え熱戦を制し、今季の同カードで初の勝ち越しも決めた。今季初の3安打猛打賞をマークした門脇誠内野手(24)が勝負を決める決勝打。その一方、同点で迎えた8回無死満塁のピンチをしのいだ4番手・田中瑛斗投手(25)も〝鬼メンタル〟で劇的勝利に一役買った。

 頼もしい右腕の強気な投球が嫌なムードを完全払しょくした。2―2で迎えた8回。この回からマウンドに上がった3番手・石川が無死満塁のピンチを招いて降板。絶体絶命の場面で、指揮官は8戦連続無失点中の田中瑛を送り込んだ。

 1球のミスも許されない中、森下に対して初球から一貫してシュートで内角を攻め続けた田中瑛&甲斐のGバッテリー。カウント1―2から投じた6球目で注文通りに三ゴロ併殺打に打ち取ると、続く佐藤輝は申告敬遠で満塁策。最後は大山から空振り三振を奪って完ぺきな火消しを見せた。

 流れを引き寄せたチームは延長11回、門脇が値千金の勝ち越しV打。指揮官として記念すべき100勝も飾った阿部監督は、試合後に「素晴らしいの一言ですね。精神的な強さを買って、ああいうポジションを任せているので」と右腕を手放しで絶賛した。田中瑛も「『もう1点も駄目だ』と思って投げた。最高の結果です」と笑顔を見せた。

 無死満塁のピンチを無失点で切り抜けたのは、1日の広島戦(東京ドーム)に続き今季2度目。「ピンチや接戦の時の方がアドレナリンがドバドバ出て力がいつも以上に出るんですよ。それ以外だと逆に気持ちの持っていき方が難しいなっていうのが最近の悩みなくらいで…」(田中瑛)と明かすほどの〝メンタルお化け〟だが、その才能を開花させたのは紛れもなく阿部監督だった。

 日本ハム時代はなかなか芽が出ず、一軍登板は4年間でわずか10試合。「今年駄目なら野球人生はもう終わり。壊れてもいいくらいのつもりで死ぬ気で投げる」と並々ならぬ覚悟で巨人入りすると阿部監督は右腕の持ち球であるシュートを高く評価し、シーズンに入ってからは終盤の要所に大抜てき。「今までそういう場面で投げたことがなかったので…」と口にしながらも、移籍してから初めて自らのタフな精神力を自覚した。

 この日の試合後も「こんな大ピンチで投げさせてもらって、うれしくない中継ぎ投手はいないと思いますよ」。充実一途のリリーバーは新天地で進化した姿を見せ続けていく。