トランプ大統領が世界中に課す相互関税は、米国をはじめ世界の警察よりもギャング、マフィア、麻薬カルテルを利する可能性が高い。銃器に使用されている鉄鋼やアルミニウムの米国への輸入品すべてに〝基本関税〟がかかる。今後はさらに関税がアップするかもしれない。一方、犯罪組織は密輸、密造するため、関税ゼロだからだ。

 トランプ氏は多くの国に対する相互関税を90日間延期したが、すべての国や地域を対象に一律で課す10%の〝基本関税〟はすでに発効している。また、90日の期限が来たら大きな相互関税を課されることになるかもしれない。

 そんな高関税の世界でも、犯罪組織の武器の流通は影響を受けないことから、今後は警察よりも犯罪組織の武器庫が充実する危険な社会となるかもしれない。

 銃身やバネ、スライドなど、すべての銃器に鉄鋼製の部品が使用されている。また、多くの銃器は、高圧弾の発射時の燃焼圧力に耐えられるよう鉄鋼製の小部品が使用されている。

 カナダとメキシコは、米国への鉄鋼輸入の主要供給国で、2023年にはそれぞれ24%、15%だった。逆に米国と関税戦争を繰り広げている中国は同年、2%強しか鉄鋼を輸出していなかった。

 アルミニウムも銃器によく使われる金属の一つで、ピストルのフレーム、ライフルやショットガンのレシーバー、ハンドガードなどの部品に使用されている。米国はアルミニウムのおよそ半分を輸入している。

 原材料だけではない。米国は、カナダや中国などから銃器を輸入している。米国の警察が使用している拳銃は多岐にわたる。スミス&ウェッソンとスプリングフィールド・アーモリーは米国の会社だが、グロックはオーストリア、ベレッタはイタリア、ハースタルはベルギー、シグ・ザウアーはスイスなど海外だ。関税の影響が大きくなりそうだ。

 対テロ、犯罪組織、麻薬カルテルの専門家の米学者ロバート・バンカー博士は、英紙デーリー・メールに対し「ギャング、マフィア、麻薬カルテルなど犯罪組織は、銃器や弾薬を密輸や密造するので、短期的には関税の影響を受けない。しかも、最近の犯罪組織は、3Dプリンター製の〝ゴーストガン〟を自ら製造するようになっている。関税は、米警察にとっては悪いニュースになるかもしれない」と推測している。

 犯罪組織は、関税の対象となるような合法的な国際間取引を行わないのだ。しかし、警察にとっては関税が重くのしかかることになりそうだ。

 関税に関して、相対的には、警察よりも犯罪組織に有利に働きそうだ。