元大関が復活への第一歩を踏み出した。大相撲春場所初日(9日、大阪府立体育会館)、大関経験者の三段目朝乃山(31=高砂)が三段目天(26=錣山)を押し出して白星発進。昨年名古屋場所3日目以来、236日ぶりの勝利を挙げた。

 朝乃山が土俵に登場すると、館内の観客からは大きな拍手と声援で温かく迎えられた。勝ち名乗りを受けて花道を引き揚げると「三段目からだったので緊張した。拍手? 早くから足を運んでくださったお客さんには感謝しかない。うれしかったですね。本土俵で相撲を取れる喜びがある。自分一人ではここま戻ってこられない。周りの方々に感謝したい」と感慨深げな表情を浮かべた。

 大関時代に不祥事で6場所出場停止となり、三段目まで転落した。一時は小結まで番付を戻したが、昨年名古屋場所で左ヒザを負傷して手術を受けた。休場が続き、西三段目21枚目からの再出発。この日はヒザに分厚いサポーターを巻いて土俵に上がった。

 2度目の三段目転落を経験したことで、相撲との向き合い方にも変化が生じた。「ケガで落ちた方が、相撲に対する気持ちが変わってくる。大事な部分をケガして、どれだけ苦しいかがよく分かる」と受け止めた。この日の土俵も、まだ復活への第一歩を踏み出したにすぎない。朝乃山は「ここから先が大事。まだ始まったばかり。勝ち負けにこだわらず、目の前のことに集中してやっていきたい」と気持ちを引き締めた。