1990年代、携帯電話でメールの送受信を行っていた最中に“紙飛行機マーク”が表示されていたのを覚えているだろうか。このデザインを世に送り出したのが人間工学に基づいたデザインを得意とする株式会社コン・クレアール代表取締役の羽室貴司氏だ。現在は4月に開幕が迫った大阪・関西万博の海外パビリオンの業務に携わっている。
建築士ではない羽室氏に白羽の矢が立った理由は、海外の空間デザイナーが制作したデータを、同社がデザイン業務で活用してきた3次元モデリングツール「ライノセラス」で加工し、万博が納品条件に設定しているBIMデータ(Revit等)に変換できるからだ。BIMとは3D設計データをベースに建築工程、維持管理にまで活用できるシステムのこと。
日本の建築業界の中で、BIMの普及を推し進めようとする政府のもくろみが、パビリオン工事の遅れの一因と指摘する声もある。
羽室氏は「BIMは今回の海外パビリオンのような自由建築に対応していない。パビリオンの形って特殊なものなので、既存の四角四面、水平垂直の図面と同じようにいかないのは当たり前の話で、そこで『新しいやり方をいきなりできるかというと難しかった』という感じじゃないかな」とし、さらに「今回、行政側の圧力というか、条件出しが明確にされてるが、マイナ保険証みたいにフォローがなかったので、現場が混乱したんじゃないかな」と推察した。
最後に「変わろうとする時代であるのは間違いないですし、これを機会にBIMをやらないといけないと切実に感じた企業さん、多いんじゃないかと思いますし、その恩恵を実感できてる企業さんも増えたんじゃないかな。図面が2Dから3Dになって終わりではなく、危機感を覚えて、ノウハウを積極的に蓄積し、活用される企業さんが、さらなる新しい時代を切り開いていかれるのかな」と期待を述べた。
万博では非日常的かつ近未来のデザインのパビリオンを見ることができそうだ。












