【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#606】コンゴ共和国のUMAで有名なのは、熱帯雨林の湖沼地帯に生息していると言われる「モケーレ・ムベンベ」だろう。現在に至るまで多くの研究者によって調査が行われている恐竜型UMAだが、実はその調査過程で得られたとされる、驚くべき生物の話が残っているという。

 ビル・ギボンズは、1986年以降、数度にわたってモケーレ・ムベンベの調査を行っている未確認生物研究家だ。3度目の探検調査でのこと、彼は現地民から奇妙な生物の遭遇体験を聞いた。その生物は、通称「チバ・フー・フィー」と呼ばれる巨大グモだという。

 チバ・フー・フィーは、全身が茶色で腹部に紫色の模様を持ち、体の大きさは約1・5メートルにも及ぶ。2本の木の間に円形の巣を作り、自身の持つ猛毒によって鳥類や小動物、小柄なカモシカなどを捕らえてエサにし、過去には人間を襲ったこともあったそうだ。また、ピーナツ大のクリーム色をした卵を集団で産む習性があるとのこと。

 かつて、たびたび目撃・遭遇例があったようだが、今ではめったに見られなくなったと言われている。実は、ギボンズが現地民から聞くよりも以前に謎の巨大グモの目撃談が残っている。

 1938年、R・K・ロイドという人物とその妻が、ベルギー領コンゴ(当時)をドライブしていたところ、目の前の小道を横切る奇妙な物体を発見した。はじめはネコかサルだと思っていたが、よく見るとそれは90センチメートル近い脚を持った巨大なクモであったというのだ。

 このエピソードは、ジョージ・エバーハートという人物の著書の中で紹介されているとの情報があるが、おそらくは「ミステリアス・クリーチャーズ」という書籍であると思われる。この著作には、カナダ・ブリティッシュコロンビア州のシュスワップ湖に生息していると言われている「シュスワギ」など、多くのUMAが紹介されている。

 そして、なんとこのチバ・フー・フィーは映像でとらえられたことがあるらしい。2013年3月、夜間の森の中を映す暗視カメラに、大きな影が移動している様が記録された。少々不鮮明であり、クモの特徴である脚などは確認できないが、何かが移動していることは確かなようだ。

 ただ、この映像はモザンビークで撮影されたという説があり、コンゴとはだいぶ距離が離れている。ともすれば、チバ・フー・フィーはアフリカの森林地帯各所を移動しているということになるのだろうか。

 さて、問題のチバ・フー・フィーの正体についてであるが、メガラシネではないかとする説がある。メガラシネは、シルル紀からデボン紀にかけて栄えた水生生物ウミサソリの一種であり、発見された特徴的な化石から、1980年代には巨大グモとして認知されていたことがある。

 すなわち、古代生物の生き残りがチバ・フー・フィーであるとする説なのだが、メガラシネは推定でも体長50センチメートルほどと、到底チバ・フー・フィーのサイズには及ばない。しかも、現時点で化石の発見地は南米アルゼンチンであり、地理的にも合致はしない。

 チバ・フー・フィーは、古代生物とは全く別の巨大なクモなのだろうか。真相は現在でも謎のままだ。