ボクシングのWBOアジアパシフィック・バンタム級王者の〝神童〟こと那須川天心(26=帝拳)が25日、都内で行われた会見に出席。元WBO世界同級王者ジェーソン・モロニー(34=オーストラリア)との前夜の激闘を振り返った。試合から得た収穫を強調しつつ、自らに苦言を放ってきた〝バカサバイバー〟こと格闘家・青木真也(41)にもアンサー。そんな神童が今回、燃える要因の一つとなったのが、頼もしさを増している弟・龍心(18)の存在だ。

 前夜の那須川は、元世界王者を相手に奮闘。得意とするアウトボクシングのみならず、右目の下にあざができるほどの打ち合いも行う激戦の末に判定で勝利した。「(モロニーが自分の)内なるものを引き出してくれているのを感じた。前向きな課題がたくさん生まれた。まだまだ伸びるし、本当にボクシングは面白いなと思いました」と収穫を口にした。

年間表彰式でMVPを獲得した那須川龍心
年間表彰式でMVPを獲得した那須川龍心

 その言葉を証明するように、試合中に度々見られたのが笑顔だ。キックボクシングや総合格闘技戦を含めても珍しい光景だったが「試合中に〝楽しい〟と感じたのは、初めてかもしれない。自分の可能性が見えたからじゃないですかね。あとは〝俺、格闘技してるじゃん〟みたいな。〝競技してるじゃん〟みたいな。それも込みで、楽しくなっちゃいました」と自己分析した。

 一方で、懇意にする青木の苦言にも返答。青木はボクサーとしての完成度が上がった神童の姿に「ナスガワさん(那須川)はボクシングに染まっちまったんだな…って。俺は〝師匠〟として一抹の寂しさを感じました」「じれったいからもう、そろそろ倒してくださいよ」と声をしゃがれさせた。これに苦笑いした那須川は「これから見ててください。競技を深く知ったからこそ(できることがある)。ちょっとした〝ずらし〟が大事なんで」と不敵に眼光を鋭くした。

 そんな那須川が試合前から頼もしく感じていたのが、龍心の成長だ。自身の古巣でもある立ち技打撃格闘技「RISE」を中心に活躍し、昨年は5戦5勝3KOで11月に

クマンドーイ(左)と激戦を繰り広げた那須川天心(2020年)
クマンドーイ(左)と激戦を繰り広げた那須川天心(2020年)

はRISEフライ級王座も獲得。年間表彰式でMVPも獲得するなど、団体の大黒柱となった。その姿に「どういうことをどう話せばいいかっていうのが、最近少しずつ分かってきた。まだまだですけど、理解度は早い。アドバイス? もっと団体とか、競技者に嫌われなきゃダメだぞっていうのは伝えましたね」と目を細める。

 

 龍心は3月29日のRISE東京・両国国技館大会でクマンドーイ・ペッティンディーアカデミー(タイ)戦を控える。自身も2020年大みそかに対戦して苦戦した強豪だけに「やってもらいたいですね。僕(那須川天心)という呪縛から解き放たれて、負けないでほしい」と期待を込める。試合前には「弟が頑張っているから僕もつまずけないし、いいバトンを渡したいですね」とも話しており、まさに有言実行となった。

 キック界で活躍する弟とともに、自身もボクシングで世界を取るべくまい進するつもりだ。