強竜は復活するか。球団史上初の3年連続最下位に沈んだ中日は、前二軍監督の井上一樹監督(53)のもと、沖縄春季キャンプでリスタートを切っている。懸念材料は目下のところ、昨季リーグワーストの373得点に終わった得点力不足。球団OBの本紙評論家・前田幸長氏が松中信彦打撃統括コーチ(51)を直撃し、現状について探った。
 
【前田幸長「直球勝負」】強竜打線の復活を託された「平成唯一の3冠王」に輝いたスラッガー、松中コーチの考えはシンプル・イズ・ベストだった。とにかくフルスイングすること。野手陣に「振らなきゃダメだ!」と口を酸っぱくして言いまくっており、特にロングティーで振って振って振りまくらせている。

 そんな松中コーチが注視しているのが高卒6年目の石川昂弥内野手(23)だ。昨季は82試合に出場しながら4本塁打、25打点と寂しい成績に終わった。未完の大器に足りないものについて「きれいに打ちたがって、荒々しさがない。せっかくのスイングスピードが全然生かされていない。ただ当てにいく感じなので、スライダーやカットボールなどの半速球は打てるが、速い直球が打てない。インサイドのボールに全部詰まってしまっていた」と指摘している。

 そこで松中コーチと森野打撃作戦コーチが石川昂と話をして、ようやく彼がそれを理解して〝フルスイング〟に取り組むようになったという。

フルスイングを厳命されている中日・石川昂弥
フルスイングを厳命されている中日・石川昂弥

 近年は弾道計測器などで打球角度などの数値やデータを気にする選手が増えているが、もともとスイングスピードがある選手がそんなことを気にするよりも、やっぱり振らないと投手に恐怖感を与えられない。思いっ切り振ってくる打者は、投手だった私もそうだが怖いもの。きれいに打つことが石川昂に求められていることではなくて、スイングに荒々しさが身につけば、ビビった投手が四球を出すなど逃げる可能性だって出てくる。

 龍空の練習を見ていても、これまで当てるだけのイメージだったが、フリー打撃で柵越えをしているのを初めて見て正直、驚いた。紅白戦でも本塁打を打っていたし、松中イズムが若竜たちにどんどん浸透している証拠だろう。

 先っぽで詰まってもフルスイングしていれば、内野の頭を越えることもある。松中コーチは「今年はシーズンに入っても徹底して振らせる」と最後まで方針を貫く覚悟だ。昭和の野球と言われるかもしれないけど、私もその考えには賛同できる。

 将来の竜の主砲として期待を背負ってきた石川昂を筆頭に竜のフルスイング軍団が今季、どんな打棒爆発を見せてくれるのか楽しみだ。(本紙評論家)