新たな女王物語の幕開けだ。卓球の全日本選手権最終日(26日、東京体育館)、女子シングルス決勝は同種目で2024年パリ五輪銅メダルの早田ひな(24=日本生命)が張本美和(16=木下グループ)に4―0で勝利し、3年連続4度目の優勝。14~16年の石川佳純以来、史上6人目の3連覇を成し遂げた。パリ五輪後、約10年間ともに歩んだ石田大輔コーチのもとから離れることを決断。早くも28年ロサンゼルス五輪を意識した取り組みを始めている。

 さらなる進化の予感を漂わせた。パリ五輪時に痛めた左腕は完治しておらず「もしかしたら棄権になるかも」という状態。それでも、張本との決勝は両ハンドのドライブなどで圧倒した。「ケガしてからたくさんの方にサポートしていただいたので、感謝の気持ちでいっぱい」と頬を緩めた。

 実戦に復帰したのは昨年11月下旬。感覚が戻り出したのは同12月中旬ごろといい「これもできなくなっている、あれもできなくなっている」と本来のパフォーマンスとの違いを痛感していた。

 練習量を1~2時間ほど減らしたが、その一方で戦術や技術に関する動画を見る機会を設けるなど最善を尽くしてきた。その効果からか、試合では相手の読みを外す頭脳的なプレーも随所に見せた。「昔はただ相手と勝負しているような感覚だった。今回は〝うまさ〟が多少あったんじゃないかな」とスタイルチェンジは実を結びつつある。

男子Vの松島輝空(左)と記念撮影する早田ひな
男子Vの松島輝空(左)と記念撮影する早田ひな

 死闘を繰り広げたパリ五輪から、まだ約5か月半。それでも「五輪メダリスト」の肩書に安穏とすることなく、周囲の関係者には「ロス五輪までもう3年くらいしかない」と口にしているという。悲願の金メダルへ、この日も「『シーズン1』がパリ五輪までの早田ひな。ここからが『シーズン2』の始まり。いろいろな方の考えを聞いて、そこから自分がいいものを取り入れていく」と強い意識を語った。

「チームひな」の一員である岡雄介トレーナーは「とにかくいろんな考えを知りたいという早田の意向はある。自分で考えていた以外の部分もあると思うし、自分で悩んでいる部分を解決してほしい思いもあると思う」とその意図を代弁。頂点取りには中国の高い壁を崩すことが必須となる中で「中国選手にこれをやったら勝てるよというものはない。だから早田のできないところを1個1個潰す。そして、できるところをもっと伸ばすという一環ですね」と可能性を広げている。

 パリ五輪を終えても、モチベーションは高まるばかり。多角的にアドバイスを受けるエースは「ここから上がっていくだけ。しっかりケガと向き合いながら頑張っていきたい」と世界の頂上を見据えている。