2024年も残すところあとちょっと。年末年始の連休も迫る中、こたつに入ってぬくぬく漫画を読んでみるのはいかが? 今回は「週刊少年チャンピオン」を手がける秋田書店の漫画編集者を直撃。テンポ感が話題な新連載から、硬派なキャラクターが光るアウトロー漫画、映画化・アニメ化を目前に控えた話題作まで語ってもらった。
「乱破~ヤンキー忍風帳~」(著・橋本エイジ)
本作のジャンルとしては「ヤンキー×忍者」、または「忍者VS忍者」という紹介になります。
喧嘩負けなしの不良・風間煙人はある日自分の子分を倒した青年、蜂須賀一矢とタイマンを張ることに。実は忍者である一矢は忍術を使って決着をつけようとしますが、煙人も本人が気付いていないだけで、煙を操る能力を持った忍者の末裔だった…という展開から物語は始まります。
その後、煙人は多くの忍者が潜む高校「刃心高校」に転校。忍者同士の派閥争いに巻き込まれながら、頂点を目指して戦うことになります。
読者アンケートの結果は非常に良く、特に20~40代の方に読まれている印象ですね。今やヤンキー漫画は“ファンタジー”としても楽しまれていますし、能力バトルが好きな方にもオススメ。また作中では有名忍者の末裔も登場しますので、忍者そのものが好きという方にも喜んでいただけるはずです。
東スポ読者の皆さんには、煙人の持つ「男としてのかっこよさ」に注目してほしいですね。理不尽な攻撃に真っすぐ立ち向かっていく煙人の姿には、スポーツのようなすがすがしさがあります。加えて体を張って仲間たちを守っていく、“スパダリ(スーパーダーリン=何でもできる完璧な男性)感”も魅力です。
橋本エイジ先生も、気持ちの良い作品を描きたいと意気込んで始まった「乱破」。これからのチャンピオンの看板を担う漫画ですので、古参を名乗りたい方はぜひ今から読んでいただきたいです!
「バウンサー」(著・みずたまこと)
筋の通っていないことが嫌いな主人公・獅子戸丈一郎の成長を描くアウトロー漫画です。つい暴力に頼ってしまうために、学校や職場で長続きしない丈一郎は、悩みを抱えながら入ったクラブでも、ナンパされている女性を助けようとして騒ぎに。結果セキュリティーにボコボコにされてしまうのですが、不屈の根性を買われて民間警備会社で働くことになる、というあらすじになっています。
みずたまこと先生は「初めて漫画のヤンキーたちに筋トレをさせた」とも言われていて、アウトロー漫画には見られなかった努力・鍛錬の描写が多い点は作品の特徴ですね。また先生は格闘技への造詣も深いので、パンチ一発をとっても、相手がダウンするかどうか緻密に考えられています。戦闘のリアリティーは、きっと目の肥えた読者の方にも納得していただけるはず。
人物の面では、一貫して描かれるハードボイルドさにも注目してほしいですね。美学を貫こうとする丈一郎が、それゆえに後戻りのできない道へ進んでしまう姿も味わっていただきたいです。
加えて同ジャンルの中では随一と言える謎の多さや、現実と地続きになっている展開も支持されている理由の一つ。実際に起きているのではないかと恐怖すら感じる物語は、今後さらにスケールを増していく予定です。
実はみずた先生のこだわりで、単行本は毎巻大幅に加筆・修正されています。ぜひ2、3周と読み返しながら、考察や伏線探しもしていただけたらうれしいですね。
「ババンババンバンバンパイア」(著・奥嶋ひろまさ)
主人公は450歳のバンパイア、森蘭丸。現在はバイト先の銭湯の一人息子・李仁(りひと)を慕っており、血が最もおいしい「18歳の童貞」になってから血をいただこうと見守っていたのですが…。李仁は高校に入学して早々、同級生の女子に恋をしてしまうという事態に。“童貞喪失”を恐れた蘭丸は、どうにか2人の恋路を阻止しようとする、というドタバタな内容になっています。一見BL(ボーイズラブ)と思われる本作ですが、こちらでは「ブラッディ・ラブコメ」と定義しています。
とにかく奥嶋ひろまさ先生には、“超絶画力”でくだらないことを一生懸命描いてもらっていますね。20~40代の女性が読者層の中心ですが、老若男女問わず楽しめるコメディー作品です。一方で若い読者を置き去りにするパロディーも随所にあるので、おじさま世代にもニヤッとしていただけるのではないでしょうか。
この特徴的なタイトルは、奥嶋先生が何となく作っていた案の一つ。そんな「ババンバ――」を見た若手の女性編集者が、「これしかないですよ!」と絶賛したことをきっかけに決定しました。結果的にはキャッチーな題名となり、アニメ化・実写化もできましたし、編集部に新たな風を吹かせる作品にもなりました。
ちなみに蘭丸が働く銭湯のモデルになった、東京・練馬区の銭湯「たつの湯」さんもオススメですよ。今も薪を使っている銭湯は都内では珍しいですし、作中で再現したお風呂に足を運びながら、漫画も合わせて楽しんでいただけたらと思います。


















