〝バカサバイバー〟こと青木真也(40)が、23日の格闘技イベント「RIZIN LANDMARK 9」(神戸)に、大ナタを振るった。出場停止処分明けの木村〝フィリップ〟ミノル(30=ブラジル)が〝生ける伝説〟ブアカーオ・バンチャメーク(41=タイ)にKO負けするなど、今回も注目を集めた大会をどう見たのか。

 大会から一夜明けて電話取材に応じた青木は、開口一番「あまりにも予想通り過ぎて、恐ろしくなったよ。この能力がスポーツの違法賭博業者に目をつけられないように気をつけたい」と声をしゃがれさせた。もちろんこれは木村 vs ブアカーオの試合展開のこと。戦前に木村がスタミナに難のある点や、K―1とRIZINキックのルールの違いから「心を折られるのでは」と予想していたからだ。

 ふたを開ければ、まさにそんな展開だった。序盤こそ木村がパンチを放ちつつ前に出たが、これをブアカーオにディフェンスされると、多彩な蹴りで徐々にペースをつかまれ、最後は2ラウンド(R)1分10秒、右ストレートをアゴに受けて崩れ落ちた。

ブアカーオ(左)のストレートをモロに食らった木村
ブアカーオ(左)のストレートをモロに食らった木村

 青木は「最初に木村が大砲(大振りのパンチ)を振り回したじゃん。あの〝100メートル走〟で仕留めるしか勝つ方法がなかったんだ。だけど、ブアカーオからすれば、それは予想できたわけで『あ、やっぱりこう来たか』ってなるわけだよ。だから、そこをしのいで、あとはジャブとローとヒザで削っていった。まさにブアカーオの横綱相撲だった」と分析する。

 そして、木村がこの戦術を取った理由を「スタミナがないから特攻するしかないんだ。何でスタミナがないか? そんなの自分で考えてくれ。そして最初に思いつくものが正解のはずだ」とメガネを光らせた。木村は昨年のドーピング検査で陽性となり、出場停止処分を受けている。やはりドーピングにも〝リスク〟はあるということなのか…。

 それでも青木は「俺は木村が改めて好きになりましたよ」と笑顔を見せる。「今回って、木村はちゃんと負けることが大事だったと思うんだよね。負けたからこそ、この先が面白くなるんだよ。ドーピングをした人間の末路がどうなるのか。それを〝歩くザ・ノンフィクション〟として見せれば需要があると思うんだよね」

 ただし「だけど、木村さんって冗舌になりすぎるとつい『K―1時代はやってなかった』とかの設定を忘れちゃうような危うさがあるからさ。そのへんを守るために、黒幕か通訳をつけた方がいいと思う」と忠言することを忘れなかった。

 一方で、変わらぬ強さを見せつけたのが青木とほぼ同世代のブアカーオだ。「とにかくコンディションがいい。秘訣? 聞きたいような、聞きたくないような…。そんな気持ちですよ」と遠くを見つめる。

 その上で「今後戦ってほしい相手? ブアカーオって、エキシビションがうまいから、いろんな夢の対決ができると思うんだよ。だからそうだなあ…、ぜひ(スターダムを退団する)ジュリアと戦ってほしい。ここは『はぐれK―1軍 vs はぐれスターダム軍』でぜひ!」と、余計なところまで流れ弾を飛ばした。

中村K太郎(奥)にキックを入れるホベルト・サトシ・ソウザ
中村K太郎(奥)にキックを入れるホベルト・サトシ・ソウザ

 また、メインで行われたRIZINライト級王者ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル) vs 中村K太郎については「結果はビックリだった。正直、中村K太郎さんが勝つと思っていたから」と予想を外したと明かし、頭をかいた。

 サトシの打撃が想像以上だったという。「本気で蹴っていて重そうだった。あれは才能だ。一発目のハイキックみたいな腕を狙う、パンチ殺しの蹴りを打ちつつプレスをかけて、フィニッシュの前にはミドルとロー。これで相手の意識を下げてから、パンチのフェイントを入れつつハイキック。あっぱれですよ。ムエタイのセオリーなんだけど、理屈のある打撃だった」と絶賛だ。

 これを踏まえ、今後については「RIZINの中で相手になるのは(ルイス)グスタボくらいしかいないんだろうけど…。サトシの場合は海外の選手に負けちゃっているから、一度海外で戦ってベルトの価値を上げるのもいいと思う」と進言した。

 最後に1R1分45秒で柴田〝MONKEY〟有哉にヒザ十字固めで無念の一本負けを喫した山本アーセンを「俺は感動したんだ。構えがきれいになっていたからね」と成長を感じたと明かす。

「でも、穴があるっていうのも、またアーセンさんらしいよね。裏切らないというか、分かっているというか…。ただ、取り組んでいることは伝わるし、今後に期待できると思う」とし、通話を終了した。