日本代表が24日のアジアカップ(カタール)1次リーグD組インドネシア戦で3―1と快勝し、D組2位で決勝トーナメント進出を決めた。プレーの賛否や差別被害を受けて大騒動の渦中にあるGK鈴木彩艶(すずき・ざいおん=21、シントトロイデン)が3試合連続でフル出場するも、またも失点。厳しい状況の中、なぜ森保一監督(55)は鈴木をまた起用したのか。元日本代表FW武田修宏氏(56=本紙評論家)が、その意図を解説した。

 鈴木は開幕から守護神の大役を任されたが、14日のベトナム戦と19日のイラク戦で計4失点と不安定な守備が論争の的になった。

 その後、鈴木がSNS上で差別的な発言を受けていることを明らかにして、インドネシア戦前の会見では森保監督が「人権侵害の言葉、差別的な言葉を向けた人には断固として抗議したい」と異例の訴え。そしてこの日の試合前には、日本サッカー協会の田嶋幸三会長が法的措置の検討を表明するなど大騒動に発展していた。

 この日はスタメンを大量8人も入れ替えており、鈴木もここまでの低調ぶりや精神面の影響を考慮すれば、GK前川黛也(神戸)などに代えて起用見送りも十分考えられた。しかし森保監督は敢然と3試合連続で先発に指名。相手の決定機はほとんどなかったが、唯一の枠内シュートとなった後半アディショナルタイムのロングスローからの流れでDFサンディ・ウォルシュに決められた。結果的に、鈴木はいずれも格下相手に3試合連続失点となってしまった。

 なぜ森保監督はリスクのある状況で、あえて鈴木を起用したのか。武田氏は「成長を考えたのだろう。鈴木は失敗していると言われるけど、彼の将来、そして日本代表の未来を考えた時に、1~2回うまくいかなかったから使わないと、森保はならない。森保は広島時代からそうだったが、勝ちながら選手を成長させる。選手に経験を積ませていくという考えなので、今大会は使っていくのではないか」と指摘した。

 田嶋会長が法的措置の検討を表明したことにも賛同。「プレーに対する批判はしょうがないけど、差別はいけない。今、世界のサッカー界でも問題になっている。ダメだということをはっきりさせないといけないので、田嶋さんの方針は正しい」と迅速な対応を支持した。

 チームは動揺しかねない状態でもD組2位を死守して、31日の決勝トーナメント1回戦に進んだ。相手はこの日の試合後の段階でヨルダン、韓国、バーレーンに可能性がある中、武田氏は「なるべく中東のチームとはやりたくない。この前のイラク戦みたいにアウェーの雰囲気になる」と韓国よりも中東勢を警戒した。

 最後に武田氏は、現在J1名古屋のキャンプで指導する立場から日本代表スタッフの苦労をおもんぱかり「代表は1試合の勝った負けたで、これだけいろんな声が出てくる。やっぱり大変だなと現場でも話している」と語った。

 激震の渦中にあっても不動の守護神として出場を続ける鈴木。森保監督の期待に応えて、決勝トーナメントの大舞台で雑音を振り払う活躍なるか注目だ。