「ぽん酢サワー」二代目担当かく語りき! 若者を中心にじわじわとヒットしている「ぽん酢サワー」の世界観を流通ウォッチャー渡辺広明氏と徹底取材。初めてなのになぜか懐かしさもあるこのドリンクを年末年始にぜひ楽しもう。
「ぽん酢」と聞いて思い浮かぶ色は何ですか? こう聞かれたらきっと多くの人は茶色の液体を想像するだろう。しかし、もともと「ぽん酢」とはかんきつ(柑橘)果汁と酢で作られた薄黄色の調味料だった。
国内のぽん酢シェアナンバーワン「味ぽん」を販売する株式会社Mizkanマーケティング本部マーケティング企画1部調味料2課の佐藤夢紡氏がこう語る。
「かんきつ果汁にお酢を加えたものが“ぽん酢”です。このかんきつ果汁をオランダ語で『ポンス(Pons)』ということから、ポンスの“ぽん”とお酢の“酢”をかけあわせて『ぽん酢』と呼ばれるようになったと言われています。弊社では1960年に『ぽん酢』を発売。しょうゆとダシを加えた鍋専用調味料は『ぽん酢<味つけ>』として64年に販売しており、67年に『味ぽん』を登録商標して全国発売に至りました」
茶色“じゃない方”のぽん酢がお兄さんだったのだ。だが弟の「味ぽん」が鍋料理だけにとどまることなく食卓に浸透し、商品バリエーションも増やしていく一方で、いつしか兄の存在感は希薄なものとなっていた。ひとりの男が現れるまでは…。
2020年、「ぽん酢サワーは日本が誇る居酒屋文化に溶け込むものになる!」と入社3年目の社員がビジュアルを駆使したプレゼンを行った。その熱意に胸を打たれた社長が即座に動く。それまで専任がいなかった「ぽん酢」に新たな価値を吹き込むべく「初代ぽん酢サワー担当」を誕生させた瞬間だった。
「私は二代目なんです。前任はぽん酢サワーの世界観に合いそうな居酒屋さんにひとりで足を運んでは地道に営業したそうです。ぽん酢サワーってもともと、とある居酒屋さんが『味ぽん』と間違えて発注してしまったものをお酒の割り材として使えるかと試したことがきっかけでした。ぽん酢サワーのマーケティングをしていく上で大切にしているのは、ちょうちんが光る下町の居酒屋でみんながぽん酢サワーを楽しんでいるというビジュアルイメージ。割るお酒も焼酎に限らず、ジンでもウイスキーでもいいよねっていうのは間口が広くあってほしいという気持ちからなんです」(佐藤氏)
当初は居酒屋向け販促グッズとして作っていた“まるぽ”のロゴマークが入ったグラスやステッカー、提灯も好評で、SNSやお客様相談センターに「売ってないの?」と多数の問い合わせがくるように。社内で検討を重ねついに今年3月にミツカン史上初となるTシャツとグラスの通販が始まった。
「ぽん酢サワーのヒットがなければ『ぽん酢』自体いつなくなってもおかしくない商品ではありました(苦笑)。ぽん酢サワーは甘みがなくスッキリした味わいなので、ここ最近の糖質控えめな潮流が追い風になったところもあると思います。おかげさまでぽん酢サワーを提供していただいてるお店さんも約1400店舗(23年8月末時点)まで増えました。21年からは商品ラベルにも“お酒の割り材”と推奨しております」
流通ウォッチャーの渡辺広明氏はブレないマーケティング姿勢を高く評価する。
「キャップのこの黄緑色がかわいくていいよね。オシャレなインテリアブランドなんかも使いそうな色なんだけど、これと『ぽん酢』の文字が昭和レトロを体現していて若者に刺さったひとつの要因だと思います。それから前任の方も佐藤さんも若いのにSNSのみならず、地に足をつけて販促しているのがすばらしい。『ぽん酢』がヒットしたとはいえ市場規模でいったら『味ぽん』のほうが何十倍も大きな存在。それでも焦らずじっくりブランドを育てて、会社を動かした点に感心しました」
最後に二代目に2024年の夢を聞いてみよう。
「大きく掲げさせていただくと、ぽん酢サワーをレモンサワーのような定番ブランドに育てたいなと思っています。初代はあまりお酒を飲まない人だったんですが、私は…飲みます(笑い)。二代目としては(ぽん酢を)注いで自分好みの濃さに割る姿がいいよねって伝えていくつもりです」
















