お世話になっております。自分ではまだ若いとは思いつつも、1駅分歩くと足が棒のようになってしまう〝ぼっち記者〟です。

 今回はパシフィコ横浜で17日まで開催されている「文具女子博2023」を取材してまいりました。会場内は流行を先取りする最新の文具の数々や、思わずうなりたくなるようなアイデア商品等がめじろ押し。普段無骨なボールペン1本で仕事に臨んでいる私にはまぶしすぎる現場でしたが、少し変わった新聞に身を置く記者として、自分なりの視点で魅力をご紹介できればと思います…!

 まずは1892年創業の「高田織物」さん。こちらは元々「畳縁(たたみべり)」を生産している企業です。そうです、踏むと怒られたり、隙間から日本刀がニュッと出てきたりするあの〝畳縁〟です。

 織物が有名な倉敷市児島地区の工場で、従業員の方は畳縁の端材を使って小物を作っていたといいます。そこから派生して、小銭入れを社外へのプレゼントとして配るようになり、現在は「FLAT」という現代的な畳縁と小物を販売する直営店を開くまでに発展。住宅の〝畳離れ〟が叫ばれている今、新たな販路を開拓し続ける姿勢が強く感じられました。

カラフルな畳縁が売っているんです!
カラフルな畳縁が売っているんです!

 10メートル単位で販売されている畳縁は、約1000種類に上るとのこと。その中には、輪切りのフルーツをあしらった〝昭和レトロ〟を感じさせる商品や、淡い色で統一された北欧風の商品も。おしゃれとは無縁の生活を送っている私でも、思わず「かわいい…」と感じるものばかりです。

 畳縁の人気は、ミシンキルト等、作品に畳縁を取り入れやすい手芸業界から火がついたそう。多様性があるうえに〝アクセント〟に適したデザイン性…支持を集めるのも分かりますね。とはいえ、ペンケースやアクセサリー等、気軽に楽しめる既製品も用意されていますので、「畳縁だけ買っても加工できない…」と感じた方もどうかご安心を。

畳縁がおしゃれなバッグに!
畳縁がおしゃれなバッグに!

 現在は岡山県内の駅やサービスエリアだけでなく、都内でも「とっとり・おかやま 新橋館」で購入できるとのこと。さらに文具女子博会場では限定デザインの畳縁も販売中です。普段何気なく和室に寝転んでいるそこのあなた、一度畳縁の魅力に向き合ってみてはいかがでしょうか?

かわいいリボンにも畳縁が使われています
かわいいリボンにも畳縁が使われています

 続いては文房具メーカーの「フロンティア株式会社」さんをご紹介。こちらは製紙会社の工場が立ち並ぶ「紙の町」として知られる愛媛県四国中央市が発祥の企業です。かつてはシンプルな文具を製造していたとのことですが、現在はデザインにこだわった文具や、レトロな文具を展開されています。

 会場で目を引いたのは、昭和期を中心に活躍されたイラストレーター、内藤ルネ氏のイラストが用いられたシールです。当時のイラストがリバイバルされていますので、「このシールをタンスに貼っていた!」と感じる読者の方もいらっしゃるかもしれませんね。内藤氏が動物をかわいくキャラクター化する分野の先駆者だったということもあり、グッズのパッケージには「ROOTS OF “Kawaii”」の一文が。最近は〝世代〟だった中年女性の方のみならず10代女子にも人気が出るという、「いい意味での二極化」が起こっているといいます。「かわいい」を出発点に生まれる世代間交流、何だか素敵ですね…!

内藤ルネ氏のシールの持つ〝かわいさ〟はどんな世代にも刺さる
内藤ルネ氏のシールの持つ〝かわいさ〟はどんな世代にも刺さる

 そしてもう1つ紹介させていただきたい商品は、「地元パン®文具」です。こちらは文筆家の甲斐みのり氏が提唱した概念で、地元住民に愛されているローカルなパンのことを指します。その「地元パン®」のパッケージを、ノートやレターセット等、様々な文具に活用して販売しているとのこと。全て実在するブランドということもあり、同郷の人にとっては強烈な懐かしさが、そうでない人にとっても、〝リアルな昭和〟が感じられるアイテムになっています。日常的に地域で食べられていたパンの魅力が、文具を通じて次世代に伝わっていくという展開は、部外者ながらうれしく感じました。

どこか懐かしいパンが勢ぞろい
どこか懐かしいパンが勢ぞろい

 前編の最後に紹介させていただくのは、「一九堂」さん。1910年創業の老舗印刷会社で、会場では個性的なカレンダーが注目を集めていました。

 本来カレンダーは印刷技術の見本として配っていたとのこと。周囲からの要望を受け、コロナ期間中にオンラインでの販売を始められました。

 今回出展された商品はコンセプトが際立っていることが魅力です。「THE NEXT JOURNEY CARENDAR」はコロナ禍で制限されていた海外旅行がコンセプト。航空券をモチーフにした紙を開くと、飛び出す絵本のように各国の風景が楽しめるという〝異国情緒〟満載のカレンダーです。

航空券風のデザインが素敵でした
航空券風のデザインが素敵でした

 また「BENTO CALENDAR」では、各月のカレンダーにお弁当のイラストをレイアウト。付属のQRコードからは、イラスト通りのお弁当のレシピも読み込むことができます。「BENTO」文化の広まりに合わせて、海外での販売も意識しているそうですよ。

パッケージも中身も〝お弁当〟です
パッケージも中身も〝お弁当〟です

 そして極めつけは「TOKYO BAY FISH CALENDAR」。本社が築地にあることから着想を得たという、東京湾の魚介類を大胆に印刷したカレンダーです。見どころは魚がそれぞれ高度な印刷技術で表現されている点。マダイの整然としたウロコ、ホウボウの鮮やかなヒレ、タチウオの光沢感も丁寧に再現されています。ちなみにカレンダーの裏面では、実際に魚が取れる海域も紹介。とにかく渋い魅力が詰まった〝江戸前カレンダー〟でした。

高度な印刷で江戸前の魚介類を表現
高度な印刷で江戸前の魚介類を表現

 今後は多くの方に、インテリアの一部として手に取ってほしいとのこと。部屋〝に〟飾るものでなく、部屋〝を〟飾るものとして存在感が強まっていくのかもしれませんね。

 現地ではまだまだ取材させていただいたのですが、続きは中編以降でご紹介します。この後も文具の魅力に迫っていきますよ…!

【文具女子博2023】パシフィコ横浜で17日まで開催される、日本最大級の文具展覧会。全国の文房具メーカーが最新商品やイベント限定のグッズを紹介・販売し、文具マニアを中心に人気を集めている。開場時間は10時から17時までで、チケットは事前購入制。

 詳細は公式HP【https://bungujoshi.com/】。