漫画は読むけどマニアではない。でも、通好みの作品も読みたい。「それ読んでるんだ」「やるじゃん」と言われるような漫画を知りたい!

 そんな人のために、出版社別に今のオススメを取材する企画。まずは、講談社の宣伝担当者に聞いた〝読んでいれば一目置かれる漫画〟だ。ドタバタ系ラブコメから社会を切り取る意欲作まで、選りすぐりの自社5作品を少年誌担当、青年誌担当のご両人に紹介してもらった。漫画好きの友人や上司、部下とのコミュニケーションツールにも!

【高校生たちの誠実さが心を打つ】「薫る花は凛と咲く」(著・三香見サカ/既刊9巻)

登場キャラは〝根がいい人〟ばかり
登場キャラは〝根がいい人〟ばかり

 こちらは漫画アプリ「マガポケ」で連載している作品です。

 内容としては現代のロミオとジュリエットのような話ですね。お嬢様学校に通う薫子ちゃんと不良高校に通う凛太郎君、決して交わることのないはずの2人が偶然出会い、恋に落ちるというストーリーになっています。

 凛太郎君は外見で誤解されがちですが中身は好青年で、薫子ちゃんもか弱く見えても中身はすごく芯の強い女の子という、キャラクターの対比もオススメポイントですね。

 2人の恋が純愛というのも魅力です。付き合う中で過激な描写はなくて、だんだんと相手の中身に惚れ合っていく物語なので、読むと心が温まります。少年マガジンのレーベルの中ではかなり女性人気は高い作品です。まだ映像化されていない作品で、これだけ女性の支持を集めているというのは珍しいですよ。特に女性の皆さんが男子同士、女子同士の友情の描かれ方に魅力を感じてくださっているようで…学校生活や日常が丁寧に描かれている点も刺さっているそうです。

 40~50代の方には、親目線で読んでいただけると思います。登場人物は皆高校生なので、はたから見ると結構不器用なんですよ。もどかしさも感じることはありますが、主人公の両親や大人たちも登場してフォローしてくれますので。一緒に見守るような気持ちで読んでいただけたらうれしいですね。(少年誌担当者・談)

【ヒロインのライバルにも注目!】「赤羽骨子のボディガード」(著・丹月正光/既刊4巻)

 こちらは週刊少年マガジンで連載している作品です。主人公の荒邦君が、題名にもなっている骨子ちゃんに気付かれないようにボディーガードとして彼女を守るという物語です。

 魅力の1つは〝両片思い〟ですね。幼なじみでもある2人は互いに好意を持っているのですが、どちらも片思いだと思い込んでいて。ジャンルとしてはラブコメに入るのかなと思います。

 トラブル続きの展開ではありますが、テンポよく解決されていく点も爽快です。主人公とともにボディガードを務める3年4組のクラスメイトたちも、個性が〝立っている〟ので読んでいて飽きは来ません。昭和のドタバタ感のある作品が好きだった方にもピッタリの漫画でしょう。

 ちなみに「尽宮正親」という骨子のライバル役がいるんですけど、自分としては正親の方がずっと好きでして…骨子ちゃんがクラシックスタイルな王道なヒロインなのに対し、正親は極道の生まれながら純情で、積極的なのに土壇場では恥ずかしがってしまったりして。「ヒロイン力」ではひけを取らないと思います! 作品としてもこれから人気が爆発していくと思うので、ぜひ今後の展開に注目していただきたいです!(少年誌担当者・談)

【見たことある!有名参考書が実名で登場】「ガクサン」(著・佐原実波/既刊5巻)

受験や資格のトレンドも学べる
受験や資格のトレンドも学べる

 現在コミックDAYSとDモーニングで連載中のお仕事系の漫画作品です。内容は漫画史上唯一無二とも言える、参考書がテーマのコメディ。ミーハー心で参考書出版社に入ったヒロインうるしと、参考書にストイックすぎて他のことがおろそかになりがちな先輩社員、福山の掛け合いはとにかく魅力的。参考書だけで一流大学に進学した過去を持つ福山のアドバイスは、時に辛辣ですが常に〝参考書愛〟に溢れています。

 また参考書は「誰しもが通った本」ですから、老若男女誰でも楽しめることも魅力です。学生の方はリアルタイムで参考書の使い方を学べますし、40~50代の方にとっても、生涯学習や資格取得にバッチリ役立つはず。勉強はいつ始めても遅いということはないですからね。

 加えて、各出版社の参考書が「実名」で登場することも作品の特徴です。名だたる出版社の本が数多く紹介されますので、大人は鮮明に学生時代の記憶が浮かぶことでしょう。そして子育て世代の方は、お子さんの勉強を見守る上でも非常に効果的だと思いますね。お子さんにこの漫画を直接渡してもいいですし、親子間でのコミュニケーションにも使えます。勉強への橋渡し役として、有効活用していただけたら嬉しいですね。(青年誌担当者・談)

【魔法の持つ光と闇 骨太の純ファンタジー】「とんがり帽子のアトリエ」(著・白浜鴎/既刊12巻)

 今回ご紹介する中では最も知名度の高い作品だと思います。作品としては、魔法使いに憧れていた少女・ココが、ある日、魔法についての重大な秘密を知り、自らも魔法使いを目指して修行していく、という内容です。

 一番の魅力は書き込みと圧倒的な画力ですね。背景もさることながら、登場人物の服装まで細かく設定されていて、気付いたらのめり込んでいるような作品です。ジャンルとしても王道ファンタジーなので、海外の読者からも非常に高い評価をいただいています。

 魔法の持つ光と闇の部分がしっかり描かれているところもオススメです。子供にとって魔法って、キラキラ輝くものに見えると思いますけど、この作品では便利さの裏側にあるリスクも存在しているんですよ。魔法使いを目指す少女たちが、葛藤の末にどう成長していくのか、ぜひ見届けていただければと思います。

 優美でかわいい画風から男性は敬遠したくなるかもしれませんが、読者の男女比は1対1。異世界転生の作品が増えている昨今、骨太の〝純ファンタジー〟を味わってほしいですね。漫画が大好きな若い世代と、じっくり話すにはピッタリの作品だと思います…!(青年誌担当者・談)

【超社会派にして超挑戦作】「ダーウィン事変」(著・うめざわしゅん/既刊5巻)

 2022年のマンガ大賞を受賞した作品です。主人公はチンパンジーと人間の間に生まれた「ヒューマンジー」のチャーリー。偏見や差別にさらされ、過激なテロに巻き込まれながらも、強く成長する物語となっています。

 一番の魅力は海外ドラマのような重厚なストーリー。作中でも人間と動物の扱われ方の違い等、どっしりしたテーマが続きます。ヒューマンジーが人間、動物のどちらとして扱われるのか、チャーリー自身の権利は認められるのか、常に正解のない問題に突きあたる展開から、令和版「寄生獣」と評されることもあります。

 また主人公のチャーリーはかわいらしいキャラクターですが、愛着が湧いてきた矢先にすごくシビアな発言もするんですよ…。読者の方は読みながら感情を揺さぶられると思いますね。ただ時間をつぶすだけではなく、漫画で何かを得たい、知らない世界をのぞいてみたいという方に強くオススメします。

 なお、こちらの作品の読者層は、実は40~50代がボリュームゾーンなんですよ。もし「ダーウィン事変」を読んでいる部下や後輩がいたら、きっと話が合うと思いますよ。世代を越えてじっくり〝漫画談義〟するというのもいい時間の過ごし方かもしれませんね。(青年誌担当者・談)

 ◆今回ご紹介した作品はすべて漫画アプリ「マガポケ」(https://pocket.shonenmagazine.com/)で読むことができる。