11月30日、国民民主党の前原誠司代表代行(元外相)が、同党を離党して新党「教育無償化を実現する会」を立ち上げると表明した。
いつかはこういうことになると思っていた。なぜなら国民民主党の玉木雄一郎代表がフニャフニャしているからだ。野党党首の目標は天下人(内閣総理大臣)になることだ。日本共産党の志位和夫委員長ですら、共産党が政権党になったときのビジョンを提示しているのだから、自らが総理になる可能性について考えているはずだ。対して、玉木氏の目標は小さいような気がする。もしかすると自公政権の下で、一度大臣ができればいい程度の野心しか持っていないのではないか。
筆者は政治家にとって野心(=権力欲)はとても重要と考える。政治的にやりたいことがあるから強い野心が生まれるのだ。なぜなら権力を持たずに自らが望む政策を実現することができないからだ。
前原氏は、聡明な知性と優しい心を併せ持った政治家だ。だから内政はリアリズム、社会民主主義(あるいは米国型のリベラリズム)になる。外交的には日米同盟を基礎とした上で、中国、ロシアともバランスを取るという地政学に基づく勢力均衡を主張する。内政的には構造的に弱い立場におかれた人に国が手を差し伸べる再分配政策を重視する。今回、前原氏が新党の名称を「教育無償化を実現する会」としたのは、前原政権ができたときには、この政策が1丁目1番地になることを意味している。
筆者と前原氏との付き合いは、民主党が政権を取る前からのことで、15年以上になる。世代が近く(生年は前原氏が1962年、筆者は60年)、学生時代を共に京都で過ごしたこともあり、波長が合う。前原氏は中学生の時にお父さんを亡くし、母子家庭で育った。京大生時代も魚市場と家庭教師のアルバイトをしながら自力で大学を卒業した。
10年くらい前から前原氏は教育無償化を最重点政策にするようになった。2人で食事をしたときに前原氏は「佐藤さん、あの頃は僕のような母子家庭の子ども本人が努力すれば自力で京大を卒業することができた。しかし、現在ではそれが不可能になっている。親の経済状態にかかわらず、子どもはその適性に応じて、無償で教育を受けることができる態勢を作りたい。家庭の境遇にかかわりなく、子どもには夢が実現できるような社会にしたい」と述べていたことが強く印象に残っている。











