女性客に多額の「売掛金」(ツケ)を背負わせる悪質ホストが大きな社会問題となっている。岸田文雄首相が国会で対応の必要性に言及し、警察庁の露木康浩長官が新宿・歌舞伎町を視察するなど、規制が入ることは確実だろう。ただ現状では、売掛金を巡る裁判ではホスト有利になっているという。

 歌舞伎町ホストOBは「法律で規制しないと、解決しないと思います。売掛金回収で裁判を起こせば、ホスト側が勝つケースがほとんどです。伝票や金銭消費貸借契約書等、ホスト側が有利な証拠書類はそろっています。債務者の女性客が風俗などの仕事を頑張っていたら、風俗店のランキング表やホームページの写しも証拠になります。相応に稼いで飲みに来ていた客が支払わなくなったということで、債務不履行を裁判官は認めてくれます」と衝撃の証言をする。

 現在の法制度のままでは、売掛金裁判でホストが勝つケースばかりだというのだ。「女性側の弁護士が不当な請求、債務不存在を主張することもたまにありますが、立証が難しいので、裁判はホスト側に有利になります」(同)

 ホストクラブは初回は3000円程度で遊べるが、2回目以降に数万円、数十万円、数百万円と請求額が増えていき、女性客が支払いのために売春等を強いられるケースが増えている。

 女性客がその場で払えない場合でも売り掛けで青天井の金額で遊べてしまう。その際、女性客は伝票に署名し、保険証、運転免許証、マイナンバーカードなど、女性の住民票上の住所が分かる身分証明書がコピーされる。客が締め日までに支払わなければ、担当ホスト(客から本指名されているホスト)は、店から支払われる給料から相殺されるので、売掛金の回収に必死になるというわけだ。

 ホストから売掛金回収訴訟を起こされると、住民票のある実家に訴状が届くケースも少なくない。東北地方の会社員Xさんの愛娘は都内の一流私大に進学。娘の将来に期待を寄せていたが、ホストからの訴状が届いて驚いた。

「うちの娘に限って、ホストクラブで遊ぶなんて、ありえない。娘も当初は『知らない』と言うので、悪質な架空請求だと思いました。ただ、裁判を起こされた以上、無視したら、マズいので弁護士に委任しました」(Xさん)

 担当ホストが女性客の代わりにホストクラブに払った飲み代を、女性客がホストから借りた形にした金銭消費貸借契約書が証拠として提出されたが、弁護士は債務不存在を主張。

「そもそも学生だからホストにいく金もないと主張したんです。そうしたら、娘は大学を退学して風俗嬢になっていたんです。証拠で堀之内の風俗店のランキング画像が提出され、卒倒しました」(同)

 Xさんは愛娘に学費と生活費を送金していたが、ホスト代に充てられていた。仕方なくXさんが、ボーナスと貯金から一括払いすることを条件に請求額を減額する形で和解となった。

 そんな中、ホストにとって手ごわい客もいるという。前出OBは「踏み倒す人が最強です。回収できない伝票、借用書、判決文は紙切れにすぎません。尊い命を失ったり、ホストを刺したりしないで踏み倒すのが一番です。売掛金回収の裁判を私も起こしたことがありますが、被告の女性は出廷しませんでした。請求を認める判決が出ましたが、女性は住民票をマンションに放置したまま転居。ポストには督促状が詰まっていて、他の裁判の原告の弁護士事務所の方も調査にいらしていました」と話している。