【Buzzの本懐】ネットで話題の人物・物事の真意を直撃――今回はフルーツをぶつけて大きくするというシンプルな内容で、約440万人のゲーマーをとりこにしている人気ソフト「スイカゲーム」に注目。販売元・Aladdin X株式会社の岡本岳洋氏に、爆発的な流行の裏側や、本業のプロジェクター事業についてじっくり話を聞いた。

 ――そもそもはプロジェクターを販売されている会社と聞きました

 岡本岳洋氏(以下岡本)元々は2018年に、照明一体型3in1プロジェクターを作るところから事業がスタートしたんです。LEDシーリングライト、プロジェクター、スピーカーが1つに収まり、置き場所に困らないという点が特徴で、〝在宅需要〟が盛り上がる中で売り上げも伸びてくれました。

最新機種のプロジェクター『Aladdin Marca』
最新機種のプロジェクター『Aladdin Marca』

 ――そこからスイカゲームの開発につながる道筋が分からないのですが…

 岡本 そもそも市販されている多くのプロジェクターは、Android TVを搭載していることが多いので、同じような画面からスタートします。ですが我々には1日を通じてお客様の生活に寄り添いたいという製品開発当初からの思いがあり、独自のAladdin OSを搭載してオリジナルアプリを数多く開発しました。映画などのエンタメコンテンツを視聴していない時でもおしゃれな時計を表示できたり、きれいな風景を投影したりと、製品には様々なコンテンツを搭載しています。

 ――プロジェクターを常に起動してもらう仕掛けを作成したということですね

 岡本 元々Aladdin X(旧popIn Aladdin)の創始者には3人子供がいまして、それぞれがスマホやタブレットに熱中して、物理的には近い距離にいるのに別々のことをしているという状況に違和感を覚えたそうなのです。そこから、なにか一つのものを家族みんなで眺めながら、ああでもない、こうでもないと会話が溢れる豊かな空間を提供したいという思いでプロジェクター事業を始めました。スイカゲームもみんなで楽しめる家族交流のツールの一つとして開発したという形になります。

プロジェクター事業について語る岡本氏
プロジェクター事業について語る岡本氏

 ――ゲームの発表自体は2021年の4月だそうですが…

 岡本 はい。その後、前出の創始者がより多くの方に楽しんでいただきたいと考えまして、同年の12月にNintendo Switchに移植しました。当時はスマホへの移植も考えましたが、AndroidやiOSではアプリが多すぎて、埋もれてしまう可能性を感じていました。その点Nintendo Switchは当時でまだ1万タイトル未満といった規模のラインナップであったこと、そして「家族で楽しむ」というコンセプトに親和性を感じたため、そちらへの移植を決めました。何かを契機にこのスイカゲームがはやれば、そこからプロジェクターを知ってもらえるのではないか、とも想像していました。

 ――今年ようやく爆発的なヒットを成し遂げましたが、それまで企業としてはどのように動いていたのですか?

 岡本 実際のところ、発売してから今年9月までの、1年9か月は特に何もしていなかったんです…。移植はしたものの、積極的にこのゲームが面白いですよと宣伝することもなく粛々とやっていまして。流行以前の総ダウンロード数は2300くらいでした。

 ――他の自社製アプリやゲームよりプッシュするということは…?

 岡本 前面に押し出すということはしていなかったのですが、元々Aladdin Xのユーザーの皆さまに向けた「スイカゲーム大会」は開催していました。それも期間内で一番高いスコアを出した方に高級スイカをプレゼントするという、〝内向き〟のキャンペーンだったので、マス(大衆)に向けたPRはしていなかったです。

スイカを目標にフルーツを合成する
スイカを目標にフルーツを合成する

 ――ファンの間で「隠れた名作」として評価されることもなかったのですか?

 岡本 製品に対するレビューでも「狭い部屋でも大画面で楽しめました!」といった意見が多く、「スイカゲームが面白かったです!」という声が届くことはあまりありませんでした。流行前からスイカゲームのファンだと公言される方も少ない印象でしたね。

 ――では、ダウンロード数も…

 岡本 はい、発売当初は徐々に、という感じです。販売者側はダウンロード数をさかのぼって確認できるのですが、ブーム以前は1日に5~10本ほどで推移していましたから。ところが9月上旬を境目に300本になり、翌日には倍になり…というふうに一気に動き始めました。

 ――社内ではどんな反応があったのですか?

 岡本 実は「ようやく見つかった!」みたいな感動はなかったですし、そもそも我々が盛り上がりに気付いたのは、売れ始めてから1週間後くらいでした。ある日突然ダウンロード数ランキングでトップ5に入って、「何でだろうね」と話していた翌日には1位になりまして…。そのまま首位をキープしていたため調べたところ、著名なゲーム実況配信者の方が紹介してくれたのだということがようやく分かりました。

 ※後編ではスイカゲームの展望や、企業としての思いについても取材しました。

【Aladdin X株式会社】家庭用プロジェクターの開発・販売を手がける企業。コンパクトな商品はファミリーからカップル・ミニマリストまで、幅広い層の支持を集める。最新機種『Aladdin Marca(アラジン マルカ)』は壁から24センチの距離で、100インチの画面が投影可能だ。

 公式HPは【https://www.aladdinx.jp/】。