【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#538】本来、羽翼を持つはずのない動物の伝承や目撃はいくつも存在している。ギリシア神話に登場する、翼の生えた空を飛ぶ馬「ペガサス」はご存じだろうが、ヨーロッパに伝わる角の生えた伝説上の馬「ユニコーン」に、さらに翼も生えた「アリコーン」(有翼のユニコーン)というものもおり、古代オリエントにおけるアッシリアの印章(シンボル彫刻)では、悪の表現として有翼の牡牛とともに刻まれていたと言われている。
現実の事例でいえば、猫の背中に翼のようなものが生えているという「翼猫(ウイング・キャット)」が有名だろう。150年ほど前から目撃され、また飼育されたという記録も残っており、たびたび話題となっている。翼猫はその翼が皮膚の異様な弾力と伸張から生じた猫皮膚無力症であるとか、多肢によって背中に脚が生えたために翼に見えてしまった奇形であるといった説が唱えられている。今もって翼猫の飛ぶ姿は確認されていない。
このように翼を持つこのような特殊な生物は、見た目麗しい美しさを持っていたり、またかわいらしかったりと、われわれに強い印象を与えるものである。だが、その一方でわれわれを恐怖に陥れる存在がいることも忘れてはならない。近年のアメリカで目撃されている翼を持ったUMA「フライング・モンキー」は、まさしくこのような存在である。
フライング・モンキーは、ここ数年になって目撃され始めた飛行UMAだ。体長約40センチメートルほどで、茶褐色の体毛に覆われたまさしく見た目はサルなのだが、特筆すべきはその体長の倍はあろうかという大きな翼を背に持つという点である。その翼を羽ばたかせて飛ぶ、まさしく名の通りフライング・モンキーというわけだ。
夜な夜な空中を飛び回り、走行中の車に接近するという習性を持っていると言われドライバーたちを恐怖させているという。
このUMAの目撃情報として最も知られているのは、2017年5月1日、米国のフロリダ州での出来事である。夜もふけ始めるころ、森に囲まれた道を自動車で走行していた26歳の男性とその友人は、前方の路上に立つ小柄な何かに気付いた。スピードを落として走行し、だんだんとその何かとの距離が縮んできたその時、慌てて男性はブレーキを踏みこんだ。そこには、ヘッドライトの明かりの中でたたずんでいるサルがいたのだ。
ヘッドライトがまぶしかったのか、そのサルが背中を向けるとなんとも巨大な翼がついている。思わず男性の友人はスマートフォンを手に取ってカメラでの撮影を試みた。ところが、何度も押しているのにシャッターが一向に下りない。男性も携帯電話を取り出して撮影を試みようとしたが、同じようにシャッターが下りることはなかった。パニックに陥る2人を尻目に、そのサルは翼を数度羽ばたかせて空中に舞い上がったかと思うと、「キー」という甲高い鳴き声を発して、そのまま夜空へと消えていった。その直後には、2人のスマートフォンや携帯電話もシャッターが下りるようになったという。
このように撮影しようとすると起こる怪現象に加えて、実際に目撃したという証言が極めて少ないUMAであるため、これ以上に詳しいことは分かっていない。一説には、彼らが飲酒していたことによってフクロウを誤認したのではないかとも考えられているようだ。ちなみに「オズの魔法使い」には、魔女に仕える存在として翼の生えた猿、まさしくフライング・モンキーが登場している。
若者たちの目の前に現れたフライング・モンキーも、ひょっとしたら魔女の使いであったのかもしれない。












