北海道東部で牛を次々に襲い、最初に襲撃した地名と足幅18センチからコードネーム「OSO(オソ)18」と呼ばれ恐れられていた雄のヒグマが、7月30日午前5時ごろ、釧路町で駆除されていたことが明らかになった。DNA鑑定で過去に採取したサンプルと検体が一致したため、北海道釧路総合振興局が22日に発表した。約4年にわたって包囲網から逃れ続けたOSO18だが、最後の時はあっけなく、そして突然に訪れた――。
OSO18は、2019年7月に北海道東部の標茶(しべちゃ)町下オソツベツで最初の1頭を襲ったのを皮切りに、厚岸(あっけし)町など近隣自治体で牛66頭を襲撃(うち32頭は死亡)。決して人前に姿を現さず、広域の包囲網をくぐり抜ける〝忍者グマ〟と呼ばれ、酪農家から恐れられていた。
最後の被害があったのは6月24日。翌25日には初めて無人カメラのカラー写真に捉えられていたが、それから1か月余り。釧路町の農地にヒグマが出没してハンターが警戒していたところ、先月30日に駆除した雄のヒグマがOSO18だった。駆除時の計測で体長2・1メートル、推定体重330キロ、前の足幅は20センチあったという。
出没地域の1つだった厚岸町にある北海道猟友会厚岸支部の根布谷昌男氏は4年間にも及ぶ追跡の末、ようやく駆除に至ったことに安堵。その上で「こういうアウトローなヒグマ、撃ち取られるときは、案外あっけないものだ。それにしても珍しい個体だった。普通のヒグマは日中に移動していたら目につくものだけど、アイツだけは見えないところを選んで移動していた」と、その狡猾さゆえ長期戦になったと振り返る。
OSO18の左足の付け根には、過去にハンターに撃たれた銃痕と見られる特徴的な傷あとがある。そんな過去の体験がきっかけとなり、移動した痕跡を残さない〝忍者グマ〟としての特性を身につけたとみられている。
気になるOSO18の最後はどんなものだったのか? 北海道猟友会のある支部長はあくまで伝聞の話として「有害駆除で出動したハンターが、ボーッとしていたところを撃ったらしい。DNA鑑定に必要な検体を提出した上で解体された」と明かした。これで牛が襲われる被害におびえる酪農家の不安は取り除かれた。
だが、再びOSO18のような個体が出現してもおかしくない、とは前出の根布谷氏だ。
「第2第3のOSO18が出現する可能性を否定はできない。家畜を好んで襲うヒグマは珍しいが、過去にもいなかったわけじゃない。ヒグマは親からもらうものをエサと認識して成長する。OSO18は雄で子育てには関わっていないが、何らかの形で牛を口にした個体がいれば、成長してから牛を求めても不思議ではない」
明治開拓期に起きた三毛別ヒグマ事件では、冬眠し損ねたヒグマが最初に集落の女性を襲って食べたため女性への異常な執着を見せ、その後も女性ばかりを狙って食べたという記録がある。それだけヒグマは一度、エサとして認識したものへの執着が強いのだ。
現在、北海道は〝ヒグマ非常事態宣言〟とも言うべきレベルで各地に出没し、人的被害も出ている。何より1990年に5000頭と言われたヒグマの個体数は、現在1万2000頭とも言われるほどに増えている。個体数が増えるほど山での居場所が限られて人里に出ざるを得ず、家畜との遭遇機会も増えて変則的なヒグマが出現する可能性は高まる。
今後も人とヒグマが共存していくためにも、増えすぎた個体数の管理は重要なのかもしれない。












